『DEATH NOTE』STORY #037 新世界(最終回)

原作はエルがいた頃はわりと頻繁に(だってどこにでもコミックスとか置いてあったし、最盛期)、それ以降はぽちぽち、といったところなのでどのくらい違うのかはよくわからんのですが。なんかこう、リリカルな終わり方だなー、と。
リリカルというのは心情的というか、まあそんなところです。
なんかこう、もうちょっと醜く終わるのかと思ったら引っ張るには引っ張るんだけど、なんかがあっさりさっぱりというか。むしろライトの死後、キラのいなくなった世界というのを少しでも見せてくれたら面白かったような気もするんですが。


前話でライトの得意げに引っくり返っている様を、あれだけしつこくやっていたわりには、特にニアがそこを突っ込むようなこともなく。
わりと淡々と役割りをこなしているだけというか。
ライトが満身創痍で逃げたあとの「追わなくても大丈夫ですよ」はむしろ突き抜けて彼らしいといえなくもなかったんですが、なんというのかなぁ、こう、あんまり楽しい最期って感じではなかったのはともかくとして(そんなこと望まなくても)。


壮絶なラスト、とも言いにくかったような気もしないでもないです。
というか、エルの死のほうが面白かったんですが、いや、死なずに呻きながら転がっているということが彼らしくないというわけでも、もっと酷い目にあって欲しかったというわけでもないんですが、なんかこう、喜怒哀楽のどれでもいいのでもう少しはっきりした“答え”みたいなものが欲しかったなぁ、というのが。
不満どうこうというより、惜しい、と思っている部分でしょうか。
でも別に、なにをどうして欲しかったってわけでも、原作と違ったとかそのままだったとか、そういう意味でもないんですよね。なんといったらいいんだろう。


まあ、エルの死は、エルが少しも醜く見えない奇妙な盛り上げ方をしていて。
その前に丸々一回使って「なんとなく知っていた」というような意味づけまでしていたわけですが、とはいえ、それはもともとそんな気がしないでもない、そもそもエルがそれだからこそライトに目を付けたという前提があるので構わないのですが。
そして、死を、それがどんな者であっても、死の段階になるとそれほど嘲笑うようなことにはしたくないという趣向がもしあるのだとしたら(なんとなくですが、話そのものが皮肉でもあんまりそう見えないんだよね)、それもそれでむしろ個人的には好ましいことのような気がするんですが、それでもなんかどっか。
期待していて、それが満たされなかった部分があったなぁ、という印象。




いや正直、なにを言いたいのかもよくわからないんですが。
因果応報、ということが強く意識された(原作、アニメ、映画を問わず)話だったのではないのかとなんとなく思っているのですが、なら、ライト=キラに相応しい死、もしくは最期、「あばかれ方」だったら良かったと思っているのかということなのかもしれず。
とある人は原作の松田さん(エピソードとしては存在してましたが)、もっとも普通の人間でもって、ライトのことを一番素直に信じていた存在に引き金を引かせるという展開に強い印象を覚えていたようですが。


その展開がそのまま入っていても、そこに比重はないわけじゃないですか。
錯乱と、犯人だということを知ってしまい、少し過剰反応になっている、という程度しかアニメ版においては見えず。そして、その後の捜査官たちの気持ちが語られるということも全くなかったので印象が強まるようなこともなく。


ああ、そうか、ライト一人きりだった世界がついに閉じた、という、どこまでもライトの内側ばかりに向っていってしまうような話の終わり方だったような気もします。
結局、誰にも一度もなんにも本音を話したことがなかった。
デスノート」を拾うことになるずーっと前から、というようなそんな、エルの死の手前に挿入されていたエピソードではないですが、そんなふうに見えなくもなく。


ニアとメロの協調関係がどうというようなことではなく。
なんだかライトはライト自身の策に溺れたんだよ、というように見えてしまったというか。そっちのほうが強調されていたような気もしてしまうわけです、なんといってもどうしてもニアはどこか弱かった。メロのほうがまだはっきりしていたというか。


ある意味で、どこまでもエルが好きだったんかなぁ、アニメ版を作った人は(それが誰かはわからねど)、というふうにも邪推できないでもなく。いや、非難したいわけではなくて、気持ちはわかるんだけどなー、とぼやいてしまいたくなります。
いっそ生き延びさせてしまったほうが滅茶苦茶で面白かったのかもしれない。
(無茶苦茶すぎる。)
なんかさあ、抽象的な言い方になるのですが、「これは全て夢だったんだよ」と誰かがライトに囁いたとしても違和感なく受け入れられそうじゃん。
因果応報というのには、なんかあまりにも、悪も善も、ライトの中にはなにもなく、どこまでもどこまでも空っぽであったという話なのかなぁ、というふうになんとなく思えてきています。他の版がどうなのかはわからないけれど(全部見てないので)、少なくともアニメって終始一貫そんなふうに見えていたのかもなぁ。
だから、罰もなにもあまり相応しいように思えない。
せめて、なんにもならなかったのだということくらい、気付いてから終わって欲しかったのかもしれないな、と感じているのかもしれません。
なんだろう、イラつくことはあったけど、ライトに腹が立ったってことはないんですよね、でもそれも、一つの解釈としてありなのかなぁ。