『美の巨人たち』レンブラント「笑う自画像」

Wiki君にページがあったのでそちらにしましたが。
美の巨人たち』の公式にはタイトルの後に(ゼウクシスに扮した自画像)という但し書きが付いていますな、番組内ではちゃんとした道筋で説明してましたけど、明言しちゃっていいものなのかな?
そういうのは正直、よくわかりませんな。
ゼウクシスってのはなんだっけ、道化師だったかなあ。


Wikipediaレンブラント・ファン・レイン


「老婆の姿のおかしさに笑いすぎて死んだ」という失礼な伝説のある方で。
それはこう、どちらかというと“惨め”に分類されるお姿なんじゃないんですかね、なんつーのかこう、素で失礼じゃねぇかと小一時間(ry
私の突っ込みどころも妙だけど、この伝説もなんか最初から妙だよな。


多分寓話というか、なんかの深い意味合いがあるんじゃないかと思うんですが。
その題材がご老人っつーのはないんじゃないかと思うのは、逆に私のほうが偏見持っちゃってるっつーことなのかなぁ。でも単に生きてるだけで笑われたら酷いと思うんだよ。
ただもちろんそれは、伝説を分解して考えた場合のことで。


伝説に残るほどの存在に死をもたらしたのが、多少特異だったのかもしれないけど、ありふれた老婆だったってのは皮肉な話ではあるんでしょう。
つーかむしろ「深すぎて」ようわからん。




レンブラントというのは、自画像を生涯描き続けた作家だったそうですよ。
自画像に関して、そうわかるってわけでもないんですが、いや、絵を描かないタイプの人なので私。けれどまあ、何十枚も並んでいたら少しくらいはわからんでもないというか。
それが悪いってわけではないんですが、レンブラントってのは少なくとも。
ナルシズムはあんまりないような気がするんですよね。


なんというか、うーん、醜い絵もあるからというわけでもなく。
醜いものも美しいものも淡々と並んでいるからというわけでもなく(そっちは少しは関係ありますかね)、番組の中でも言っていたんですけれど、ある種の習作だというふうに言われたら、どこがってわけじゃないけど納得が行きますわね。
それはなんというか、数がすごーく多いからそう感じるのかもしれないし。
バラエティに富んだ内容だからかもしれないし。
いろんな表情をしてるからというのもあるだろうし。
ひどく美しい絵も、醜い絵も、ごっちゃに並んでいたからかもしれません。


もちろん描いていた時に並んでいたわけでもないし。
そもそも手元にすら残っていなかった(最盛期には自画像ですら売れた)というのもあるんですけれども、やっぱりあれはずーっと連なったものであるような気がするんですよね。


一人の人間の時間の流れ、と見ることも出来るのかもしれない。
画家という、人より少し優れた目を持った存在が捉えた人の一生。
(それが当人であるかどうかは一度置いておいて。)




彼のことは、私は≪トゥルプ教授の解剖講義≫という絵で知っているんですが。
んにゃ、絵画としてじゃなくて、この当時の解剖学とという切り口ですがね;
すんません、ヲタなんで、レンブラントなんていうわりと名前の知れた人が描いたってことも意識してなかったというかなんというか。
ちょっとこう、特異なテーマというか、普通描かれないテーマだったんじゃないかと。


それで、自画像の一部もそうだったんですが、写実的なんですが綺麗ですよね。
印象派なんかの、光を意識した系のタッチに似てるというか(素人目ですが)、線が柔らかいというか。そいでもって、特に強烈なエピソードも持っていないのではないかな。
でも、ちょっと頑固で、ずるずるっと時代に合わなくなってって。
周囲に迷惑を掛けながら、徐々に全てを失い(可愛い息子さんだ)。
最後は一人寂しく死んだっつー、そういう人みたいなんですよ、レンブラントさん。


その彼の遺作が≪笑う自画像≫。
彼の自画像で他に笑っているものはないようです、いろんな扮装をしたり(空想の中で)、いろんな表情をしているものはあるんですが、笑っているものだけがない。


さてこれは、扮装をしている絵か、それとも当人そのままなのか、と。


他人を笑わせ続けてきておきながら、人生の最後は老婆の姿に笑いすぎて迎えたという伝説の持ち主に扮した「自画像」。絵の端っこに、かなりぶっ切れた老婆の片隅付き(半端なことしてんなよ!)。
うん、ごめん、なにが言いたいのかよくわかんないよ、レンブラントさん。
自分の性に追いつかれて呑み込まれてしまったってことなんでしょうか。