『獣王星』-chapter08 深層-/-chapter09 獣王-

納得が微妙にいかない。。。


いや、完全に駄目ってわけでもないというのがまた微妙なところで。要するに一種のファムファタール=運命の女が出てきて、トールの運命を決定することになるのですが。
(しかもそれが「殺されること」によって。)
駆け足の恋なら駆け足の恋で、もうちょっとなんというか。いや、展開や感情に腑に落ちないところがあるというほどでもやっぱりないんだよなぁ、わかるかわからないかと言われたらわかります。
面白いか面白くないかといえば、まあ悪くもない。


物語り全体のパースとして、主人公トールの恋愛なんだから、そのくらいの比重があってもちろん構わない気はする。けれどさぁ、なんか最後のところが嵌まらないというか。
いやちょっとまだ説明しずらいところがあります。




ぶっちゃければ、ザギが連れていた副官カリムに一目惚れしたトールが。
ザギに副官として放り出された(しかもトール絡みで;)カリムのことを追いかけたら、なんか地面の穴にぽこんと嵌まりましたよと。それ自体は植物が支配する獣王星ではあまり珍しいことでもないんですが、本来トールにはカリムを追う理由がないんだよな。
普通の男なら別にいいんだけど、リングっつー集団の主だしね。


人死にが見逃せない、特殊な状況に陥る「冬」にましてや女を、というのであっても部下と行動すりゃいいんだよな。結局。
一人で救助に行くのは素で危険ですし。
ある意味で死んでたら自業自得としか言い様がないというかな。


でも恋なんだから仕方がないと。
そしてその相手のカリムも、トールに「対する」嫉妬を乗り越えて、思いにちょっとずつ答えてくれるようになると、なんせまあ閉鎖空間なので。


そして美男美女なので。
若いし。




、、、なんかぁ、このエピソード自体は納得が行くんだけど、この番組でこんなふうな展開を挿入しての相乗効果ってあるんかなぁ。なんかこう、カリムに取ってつけた感が否めないというかなんというか。
むしろ、ティズが振られるところのほうが面白いというか。
(ティズ好きだし、周囲もお似合いだと思ってたろうけど)(多分「あの」サードでもティズのが良かったと思うんだよね、うん。)
(ザギでも茶化しはしないだろ、さすがに。)


原作のほーはこの辺知りませんです。


もうちょっと丁寧に描いててくれたら感じ方が違ったような気がするんだけど、なんか感情優先というか、雰囲気先行というか。うーうー、上手く言えないんですが。


そもそもがザギがトールに興味を抱いている。
なのでカリムがそれを妬いている。
そしてトールはカリムに惚れている、というような状況が面白いか面白くないかといえばまあ料理次第だと思うんですが、少なくとも設定の時点でどうこうってものじゃない。なんというのかそもそも、出発点のザギのトールへの感情のベクトルも描写不足なんですよ。


カリムがザギに執心するわけ。
トールがカリムに惚れた部分なんてのは別に短絡的であってもいいんですが、前者は強いからだし、後者は美しいからでいい。


しかしなんか、どこかで組み合わせが完全じゃなくて精神論を聞かせられているような気がするというかなんというか。言葉で説明しすぎるというか、いやでも、会っただけ・次で追いかけ・次で落とし・次で女が殺されるっつータイムスケジュールをこなすためにはそれはしょうがないことなんだと思うんですが。
絶対にないとは言わないんだけど感情表現ががたついてるというか。
それを力技で流された気分でした。




ただ、まあ、トールがザギを刺したとことか好きなんだよね。
そういや、ガキだったんだよな、お前っていうくだり、あの辺をカリムとの「恋愛」も反映できなかったんだろうか。どっちもなんか、餓えてて子ども染みてて極端で。
どっちかというと勘違いの恋愛以前っていう雰囲気もないではなくて。


いやむしろ、そういうふうに描いててくれたら納得がいったと思うんだ。
カーッと熱して、そして瞬間的に悲劇に至る恋情みたいな。


まあとにかく、上手くいった途端にカリムが殺されて、それをやったのがザギだと思い込んだトールがザギを刺し。
で、獣王へのステップが(そんな時なのに)発動、以下次号。