#519 黄金の世界史 世界遺産の記憶(――) 08:31

わーい、鈴木京香さんだー♪


とはいえ、ナレーションとして合っていたかというと微妙なところなんですが、いや、真面目な番組がどーとかじゃなくて(それは合うと思う)無茶な繁栄と衰退というテーマに相応しいかどうかはよくわかんねっす。
まあ、幾多の繁栄と衰退を繰り返してけば。
それ一個ずつ自体はそんなにドラマでもないのかもしれないですけどね。


リマ歴史地区の回(#517)でもインカの黄金を征服者がかっぱらっていったということなのですけども、この黄金の回自体はわりといろんな題目の余りものっていうか、番組を作る過程で「あー、これとこれつながってんなぁ」とスタッフさんらが思ったことらの結集なのじゃないかしら。
黄金はこう、劣化しないという結構強烈な特徴があります。
全ての物が朽ちた湿度の多い遺跡なんかでも、それだけが燦然とほとんど当時のままの姿で残っていたり(表面はくすみますが、本当にそれくらい)するのを何度か見ると、なんつーか「現世の価値」以上に畏怖の念が湧いてきますね。




日本も確か黄金の国として狙われたことあったんじゃなかったっけか。
いや、番組の中で取り上げられてたわけじゃあないんですが(奥州藤原の黄金産出がちょっと誇張された結果じゃなかったっけかな)、なんとなく「黄金の国・エルドラード」という表現を聞いていたら思い出してました。
それも実際にどこかの国のことじゃなかったっけ。
そして、現地の人がいることを、微妙に意識していないかのように(意識はしてるんだけどね虐殺して奪ってくんだし)押し掛けていく辺り、ちょっと現代人が聞いた時に感ずる理想郷めいた響きではないんだろーなーと。


今は南アフリカ共和国がその位置にあるといえるのかな。
いや、移り変わる黄金供出国。


ダイアモンドなんかにも少々流通制限の機関があって、世界流通量が一定にされているのだということを聞いたことがあるのですが、地球上のどこに行っても価値がほぼ一定なのは金くらいなのだそうで。
それこそそんな知恵が出る以前からその節があったのだというのですよ。


やっぱりそれは、同じような畏怖の感情なんでしょうか、それとも見た目か、もしかしたら「皆がそう思っているから」という共通認識のせいなのか。他のものよりも確実に希少だからなのか。
全ての要素が絡まって黄金というものは成り立っているのでしょうが。
多分、金を金として認知するのには、文化のあるなしとか、共通の歴史背景は共有していなくても構わないのだろうけれども、でも動物には関係のないことだとも思うし。少なくとも歴史や社会そのものは必要というか。
んでも、そんなもののために大陸を越えていく、一個の文明をけろっと滅ぼしてしまったりする、そして持ち帰ったそれで実際に一つの国が越え太る。


なにも己の土地で産出してなくてもいいんですよね、インカの富を奪った西欧がそうで、それで繁栄を迎えた。つーか、そのせいでインカ帝国は滅びを迎えた。
いくら思い上がりがあっても、ただ自分たちより劣っているというだけで征服に行くというわけではないでしょう、そこに欲がなければわざわざ遠出しない。
金はそのくらいの価値があった。
大陸を越えるくらいの。
文化文明を越えて同じ感情を持ちえるくらいの。


けれどその歴史はどっかしら、やっぱり血塗られているよーな気がします、けれどそれはなにも「金」そのものが悪いんじゃないのかとも。


そういえば中国では朽ちない金を指して、仙人になるための薬のようなものと考えていたと聞いたことがあるし。やっぱり何千年の時を経て、同じ美しい姿を保つということ自体を単に人間の欲と結びつけるのは寂しい気がするのですよ。
成金めいた印象もあるものでしょう。
工業機械の中にもその性質を生かして時折入れられます。
備蓄するのならば価値を失わない金だという考え方もある。




そのせいで運命を狂わせた国もあれば、そのせいで栄えた国もある。
海を延々と越えて新しい大陸を見つけ、一つの帝国を滅ぼす。


ただのおとぎ話かというよーな内容の伝説につられて知りもしない、実際に危険のある海路に乗り出していく。それが悪いことなのかどうかはちょっとわかりません。
その果てが血路であるのだとしてもね。
私にはわからない。
滅ぼしたということ自体には無邪気な非難をすることが出来てもね。


黄金ってどのくらいの時間を越えるんでしょうか。
もしかしたら我々がいなくなった後にも、誰かが私たちの金を掘り出してこの時代時代に思いを馳せたりもするんでしょうかね。
んで、どうしてそういうものを好むんでしょうかね。みんな。