『美の巨人たち』アンリ・ファンタン=ラトゥール「バティニョールのアトリエ」

マネとモネが似てるっつーのは、多分民族が違う日本人だからで、勝手に遠くからそう思っているのヨね。なんてことを常々考えてたんですが(もうちょっとマシなことに脳のリソースを使えないんですか)。
なんだよ、当人たちも同じこと考えていたのかよ?!


ということが一番の驚きだったでしょうかねぇ。


よく美術の教科書に載っているものの、あんまーし、作者自体のことは知られてないかなぁ? というアンリ・ファンタン=ラトゥールさん。
すみません、絵の記憶も残ってないっす。
見てないのか覚えてないのかわかんないなぁ。;




美の巨人たち』:「バティニョールのアトリエ」
(フランス・オルセー美術館所蔵)


とりあえずWiki君には、、、どこの名前で呼ぶのが一番妥当なんだろ? とにかくこの人の項目はなく、マネだったっけか...orz
親友のマネにしようかと思ったんですが名前が出てこず。
さりとてこういうテーマで“静物画”(ファンタン=ラトゥールの名前がありました)の項目っていうのもさすがになんだなぁ、と思ったというかなんというか。


名前が出てないことを承知で“印象派”につなぐというのもありかなぁ、と思ったんですが、まあ無難に番組HPにしてみました。


なんかねえ、この回を見てる間中、「じゃあどっちが勝ったの/負けたの」「どっちが有名になったの」みたいなことばっかり気になっちゃって...orz
別にそういうこと自体を否定してた回でもないんですが。
さすがにちょっと見終わったときに切なくなったというかなんというか。




印象派の現れるという直前。
宗教絵画が全盛だったという時代に、次の世代、印象派のシンボル的存在になったマネと、器用で美しい絵を書いたファンタン=ラトゥールの話、、、?
なんか全篇にマネが出てきたのでなんかそんな印象が。


なんでもマネさんを中心に芸術家たちがカフェに集まって。
てんでばらばらなことを話していたんだというそういう時期があって、表題作もそんな画家や作家や詩人(まあ画家が一番多いんですが)たちの集団を描いたっていうそんな作品。なんとなくなんの説明がなくても黎明期っぽい雰囲気があります。
エネルギーがあり、けれど認められていない。
(しかしなんとなく次の世代を担う者らという気もする。)




ラトゥールさんの絵は「誰でも描ける!」「凡作が!!」みたいなその周囲の画家の嫉妬をいっぱいに受けていたわけですが(皆売れてなかったから、余裕がなかったのかな;)、その中で一人鷹揚に褒めてたっぽいですよ、マネさん。


てか、ラトゥさんは売れちゃったんですね、なんか一人だけ。
そいでもって「打破!サロン」「品評会なんかクソ喰らえ!」みたいなことを言ってた(仲間たちは落ちまくってたー)、人らの中から微妙に外れてっちゃってたっぽい?
マネさんはそれでも親友でいてくれたみたいですが。
てかちょっと待て、ラトゥさんなんもしてねぇぇ。


サロンに落ちてた彼を、説得して、サロンに拘らせ続けたのでー。


みたいな、それでマネさんは結局新しい波にも乗れず、サロンにも結局認められなかったんだよ、みたいなちょぴっと皮肉成分すら篭められていたよーな気がするんですが。
そんなのは後世まとめて人生見た人間の勝手な思い込みなのかもしれないし。




誰かに認められないと芸術家は駄目だって決まったものでもないかもしれないし。
ラトゥールさんって、彼自身はもしかしたら炎になるほどのものを確かに持っていなかったのかもしれないけれど、人の中のそれを見詰める目がなかったとは、いろんなものを見て聞いていると思えないんですよ。


もしかしたら、サロンより仲間たちよりも価値があったのかもしれない。


もちろん想像ですけどね、でも、彼の絵の端正さや素直さは、器用さもあるのかもしれないけれど対象に真っ直ぐに向けているなんというのか、興味とか熱意もあるんじゃないのかと思えるので。


マネは歴史に残りました。
ラトゥールさんは美術の教科書に載り、彼の名は知られていないそうですが。
まあいいじゃないですか、それもそれで。