「ドイツW杯 魔術師ロナウジーニョ」

これは純粋に面白い回でした。


なんっていうのかなー、“魔術師”の呼び名に恥じずっつーかなんつーか、すごい不思議な雰囲気な人っつーか。そーだなー、一番近いと思ったのは特撮の登場人物なんだけど『クウガ』の五代クンかなぁ(オダギリ君でなくて)。
かなり離れたゴールポストにボールをバウンドさせて自分の頭に当て、それを降ろして蹴る、という動作を何度も何度も繰り返すっつーつーCMがあるんですが(動作は単純なんだがややこしい;)、「合成だかそうでないのか」と聞かれて「内緒w」としか答えない辺りとかね。だって明かさないほうが面白くない?


あとなー、なんかブラジルチームって全体的に強いのね。
タイプもばらばらなんだけど、で、さして統一性のあるってぇ動きでもないんだけど、その上で強いんだよね。ロナウジーニョさん以外の三人と合わせて四人のメンバーのプレーを順番に見せられた時なんてわくわくしたよ。
純粋に、見てるだけで充分に面白いんだよね。




日本のプレスの回で、「頭を使って」プレーするという話があったんですが。
この人の場合、頭が考えるというよりもその瞬間になると体が勝手に動く、というほうが近いそうで。ボールを扱う足っつーか下半身と、敵プレイヤーと向き合う上半身がほとんど無意識に別の動き方をしているってんだから、習慣かそーでなきゃ天才だよな。;
あとで少年サッカーチームに説明してましたが。
正直、そう上手くは言葉に表せないようでした、この技はなんていうんだっけかな。


お兄さんがもともとプロのサッカーチームにいて、17歳になった時だかにお兄さんは引退してロナウジーニョさんのマネージャーになったんだそーですよ。


てゆか、彼の稼ぎを中心にお家が廻っているよーで。
ただしそれはブラジルではそんなに珍しいことでもないらしいです。
(や、絶対数として多いわけはないと思うんだけど、立身出世の道として「サッカーのプロ選手になる」つーのはわりと皆が考えてることらしいっす。)


いや、もちろんプレイの数々も見てて面白かったんだけど。
なんかさあ、不思議だった。
ほがらかなにーちゃんなんだけど、なんかこう、表情の動き方が少ないんだよね。もちろん遠い国から来たテレビカメラの前だからそんなのはある程度は当り前なんだけども、うーん、そういう意味での差異は少なさそうなんだよね。
誰かと、誰の違いがあんまりなさそうというか(意味わからんて)。




ずっと一人のことを扱っているだけあって、正直わりと内容は他愛ないことばっかりで、ぼけー、と見ていると子どもの頃、「犬とずっと練習していた」という話。
だから独特の動きになった、という説明なんですけどもね。


そうなんだ、スポーツマンっつーわりに、なんとなく思索的なんだ。
単純に独特とか個性的とかでも表せられるんだけど、要するに内向的、ある程度己の世界が構築されるまでそれが阻害されなかったっつーのかな。なんでこんなややこしい言い回しになっちゃうのかなぁ。;


んで、その表現形がサッカーだった、ということじゃないのかなと。


頭っつーか「知的活動」とはちょっと違うんだけど、単細胞とか熱血なんてのじゃあ少なくともサッカーっちゅうゲームは無理ではないのかなぁ。や、頭脳が余所にいてそれに対して忠実に動くというのはありかもしれんけど(プレスの回で書いたな、これは)。
シンプルに、芸術家に近い選手なんではないのかと言っております。
(それが強みになることもあるし、逆のこともあるでしょうが。)
もちろん身体能力自体も必要で、そもそもそれが(しかもサッカーの場合はほぼ全身トータルに必要だろうな)整っていない限り、「頭脳ゲーム」なんてぇことにはなりえないんでしょうが。


彼を、ロナウジーニョ選手を見ていると、サッカーそのものがわりと、チェスや将棋なんかのもっとも偶然の要素が入りにくい(上位者同士の場合だけど)種類のゲームみたいに見えてくるんだよね。
実際にはそーでもなさそうなのは、別の回を見てても思うんだけど。
なんというのか11人のゲームでもって、当然のことながら、相手がいる。
(相手がタイプ違いだったり、下手すると能力低くても同じようには振舞えない。)


そーなんとなぁく、「相手のいない」サッカーをしてる気がするんだ。
やっぱり、それ自体がいいというわけでも悪いというわけでもなくてね。


でっけー自分ン家で、いつも裸足で犬を相手に練習して、遊びに来た友人らと「博士なんぞよりサッカーは頭が使うんだよ♪」みたいな歌を歌ってた。フツーに食えれば特に贅沢なんてのも必要なものもないんだろうな。


面白かった、面白かった。w
サッカー一つ取っても、それを通しても、いろんな人がいるんだな。