第十五話「春と嘯く」

蟲に人に近いような意思がないってのは作中繰り返されてますが。
だから人に利するようなことがあってもそれは善意ではなく。
5話の水蠱さんは(さん付けはもともと私的にデフォ)(異形だろうが下手すると武器だろうがほとんど敬称付けー)、ありゃまああっちが特別。


しかし悪意もないというのも繰り返されていますがね。


この回は、冬に「春の擬態をする」という蟲と。
それに魅せられてしまった少年の話で、正直なんで少年が眠ってしまうんだかよくわかんなかったんだよなー。まあ寝てたほうが彼の場合(お姉ちゃんの負担)効率が良いとは思うんですけども。
冬が深くなる前にふらっと消えて。
帰って来ると春になるまで目覚めない。


たまたま眠る前から行きあったギンコも調べてはみたのだけれども、始めての(記録にない)蟲の場合って対処しにくいみたいだよね。
逆に、「蝶」を逃がしてしまって春になっても目覚めなかったとゆー。
え、丸一年だか一年半だかの話なのかこれ。。。
(時間の流れが不思議だ。)
(正直、ギンコの蟲関係の品物を買い取る化野先生の出てきた時くらいしか時間の経過がはっきりとはわからん)(1話分の顛末までに数年掛かってるなんてこともあるし。)




ギンコに好意があるらしーお姉ちゃんが可愛かったですよ。
だらだら一緒に暮らしてるあげるならもうちょっとさぁ。


まあ、蟲が寄ってくる体質だってのを気にしてるのかもしれないが、もしかしたらそれだけではなくて本当にいろいろな物を見たいのかもしれんし。最初は旅自体は目的じゃなかったのに楽しくなったのかもしんないし。
いやつまり、ギンコは旅にも出たいのかもしんないけどさ。
しかし再登場してくれたら嬉しいかも。
(話としては成立しないのかなぁ、謎はもうないし。)
(化野先生でもいいけど、姉弟のがいいに決まってるさ!)


そもそも弟くんが、丸一冬寝てたわけですがー。


そっから、ようやっと蟲の話が始まるわけです、春の顔をして周囲の動物の気を引いて力を抜き取ってしまう奴ら。w
少年には食べ物をくれたりするけどねー。
やっぱり寝てるんだから力も取られてるんだろうね。
でも、それすら今の彼にとってはありがたいのかもしんないし。お姉ちゃんと違ってまだ労働力ってのにはちょっと足りないしね。




あいつらに好意はないよ。


みたいなことをギンコは告げるわけですが、少年は俯く。
でもまあ、それでも好きでいてもいいんだろう、と言うのは多分、彼に合わせたのではなくてギンコの本質に一番近いのかもしんないですね。
いや本音、というべきなのかなー。
ギンコは蟲が好きだけど、好きっていうかうーん、肩入れ? いや、どんなことがあってもけして憎んだりしないわけなんだけども。
そこに自分への、人への好意があるとは勘違いはしてないよね。


蟲はただ生きてるだけだ、て呟きは何話だったっけ。
命や人や運命を呑み込んでしまっても別に悪意はないんだよね。




今度の彼らもそう、自分たちの糧を得るために騙すけれど。
それって、まあ普通の生き物と同じだよな。
その是非など考えてもしょうがない。


蝶も美しかったし、彼らの見せる、半分は幻なのかもしれない「春」も美しかった。そこに山菜も生える。
それを採って少年は姉に差し出す(その出所を隠してね)。
そし春になるまで眠ってしまう。
少年まで含めて自然の摂理に沿った「生き物」っぽい。


しかしなぁ、やっぱり。
それってお姉ちゃん心配だよな、もしかして、もしかしたら、そういうふうに彼が「冬眠」してなかったらこの幼い兄妹は生き抜いてこれなかったのかもしれないんだけどもさ。
ギンコですら冬には弱るっていうし(「また来てね」「冬以外にな」って冬に来ると居座っちゃうって意味だろう、けけw)、仕方ないのかもしれないが。うん、でもやっぱり。
人の生を生きなきゃならない気もする。今までの人らと同じように。


しかしやっぱり、蟲を好きなまんまでもいいよね。
今度は長い冬の間に、少しだけ「春」を見に行けばいいよ。こっそりと。