『獣王星』-chapter05 決闘-

今まで2話まとめてレビューしてたんですが、全11回とのことなので、少年期クライマックスのこの回を1話分でにすることにしました。
最終回ってのも手かもしれんのですが、わりとがらっと時期変わってるしね。
(6話ですでに青年。)


この回はかなり面白かったな。
それもあるんですけどね、今まではなんとなく最小限のキャラクタをとにかく出さなきゃいけない、登場に伴うエピソードを消化しなきゃいけないって感じで、ぶっちゃけほとんど前振りが存在してなかったんですよね。
いきなり事件になって、なんとかかんとかそれを解決する、という形。
積みあがってく状況が解消、というカタルシスがないんですよ。


でもさすがに4話まででそこそこ準備は整って。
で、5話はきちんと話を運ぶことが出来た、という感じです。


まあ一つ難を言うならば、原作のマンガではトール(主人公)の台頭って非常にゆっくりしたペースで、こんなに早いものではなかったので、明らかに突出した能力のある青年であるサードが入れ込むのもなんとなくわからないでもなかったんですよ。
確かに、未熟であることの可能性に賭けた、というアニメと似た側面もあるにはありました。けれどそれは己の仕掛けた罠に対する態度なんかも見ていて(素で人を陥れるの止めようよ)(そんなかよ)、という形だったんだよね。
あれじゃあ、本気で最初からトールを自分の思い通りに≪トップ≫にするための仕掛けや罠だったような気がしてしまうよなぁ。




しかし、そんな「運命」がどうみたいな選び方って今の子は違和感ないのかね。
でも、別口のザギがそんなふうだったからなぁ、被りやせんか。。。
(彼はトールの中にある野生めいた生命力に共鳴したらしーよ。)


まあ、そこを除くとほとんど悪くなかったです。
サンリング・フィメール≫のトップのチェンは良かったなあ、マンガでは女の妄執ってのが前面に出ていて、ちょっと楽しいとまではいえなかったんだけど、ちょっと寸詰めされたくらいの状況だと「あー、気持ちはわかる」と思うことが出来ましたよ。w
フラれてもしょうがないんだけどね、それ自体は。
でも、きちんと正面に向き合ってさえもらえない、つーか、はっきり言って興味がないってことを告げてさえもらえないってのは切ないよなぁ。


この回でトールがほとんどサードに仕掛けられた形で≪トップ≫になるための挑戦ってのをさせられてしまうんですが、この内容が決闘。
相手は多少卑怯なところもあるとはいえ、かなりの大男で剣の使い手。
(次回に出てくるユウキなんかよりは弱いんじゃないかなぁ?)
敏捷性には秀でたトールとはいえ、ウエイト差はいかんともしがたいんですよね。




んでもって、サードがその状況に一度だけ介入をする、という。
しかしこの辺の機微はわかりません、サードに騙されたってことはトールにもわかっていたんだと思うんだよね。騙されたってほどではないんだけど、最初から結末を知っていたというか。


まず、サードにコンプレックスを持つトップを前もって焦らしておいて、わざとトールの目前で挑発、トップからの叱責を受けるように仕向けた。
コンプレックスもあるしもともと粘着質なのでやたらとしつこい。
なので直情型のトールがその状況に文句を言った。
そこで「トップへの挑戦だ!」と叫んだとゆー。>サード


んでもって決闘。


まあ、介入は結果的に上手く行くものの、トールは瀕死の重傷を負います。
それに対して顔色を変え狼狽をするサードに。
「私の時も、そんなふうに慌ててくれるだろうか」というチェンの言葉。




そもそも、上のほーの「焦らし」っつーのもこのチェンといちゃついて見せ付けていた結果だし、チェンもチェンでなんとなくそれをわかっている。
その上でなんとなく許しているというか諦めている。
「そりゃあそうさ」
と、サードは返すんだけどねぇ。なんかそうならなそうなんだよな。


別にサードが極端に平坦だったり、トールだけが特別っていうわけでもなくて、例えばトールと一緒にいる少女ティズなんかのことだったらまだしも慌てることもあるかな、というくらいの幅はある。
しかし、なんか、チェンは彼の「外」にいる。
その感情の発露が、己も案じていた少年の瀕死の状況下で出てきてしまうってのが、なんだか逆に物悲しさがあって良かったんですよ。
ちゃんと成熟した、きちんと筋を通す女性って描かれていたからかもな。


チェンの回ではないですよー。;
でも微妙に彼女のほうが印象が深かった気がするなぁ。