#485 マサダ(イスラエル)

さてならば、誰がそれを伝えたのだろーと思うわけです。


ユダヤ人(イスラエル人)の記憶、つーか記録っつーか、それこそモーセのあとから、どんな内容でも途切れることがないのではないでしょうか。どうしようもなく喪われてしまうことはあっても少なくとも意図的には。為政者の過ちもくだらない思いあがりも(他者のソレを責めるものだけではなく、己に属することでも)。
多分、己らが殺した人間たちのことも、記録していくのではないのかと、そこだけは彼らを信じてしまうんですが。


私は今、「歴史」という、まあ、古い本を読んでいるわけですが。
(現在ペルシア帝国アケメネス朝が出来る寸前くらい。)
この中でも、滅ぼされた民族、国を追われた民族なんてものには事欠かない、そーして、別の名を名乗ったり、それこそ余所の土地でそこの民族を追い出したり。
数代掛けてゆっくりと土地に馴染んでいったりとか。


ユダヤ人たちに起こったことは、多分そう特別ではない。
ホロコーストは、そもそもあれはユダヤ民族だけが迫害されたわけではありませんし)(そーして“民族浄化”というのはもうそういう単語が存在しとりマス。)




けど、「伝える」ということを考えると、どーかな、と思うんです。
日本でこないだ、つーか多分今もちょっと有名なブログさんが主導になって、アフリカの状況を皆に広める、とゆーよーなことをしてましたが。さて、どーかなと思ってしまいます、どうしても。
(女子割礼の廃絶を訴えてるモデルさんとか)
(生きながら焼かれてしまった女性とか、そーいう人らはいるわけですけど。)
(なんかものすごい確率だなーと思えてしまうんですよ。)


悪いとかいいとか、そんなんでなくて遠い。
とても、伝わりにくい。


今のことと、古代、それこそ紀元前何世紀っていうよーなことをごっちゃにして語るのってどーかと思いますが。私は実は、あんまり変わらないんじゃないかなと。


Wikipediaヘロデ大王


キリストさんの時代にちっと近い、洗礼者ヨハネさんの首を撥ねたとか。
(でもこの人の意図ではないとかなんとか)(よくわからん。)
救世主が現れるかもしんないー、ということでその年齢の子どもを皆殺しに、したのかどうかは実際わからなくてもそーいう話が語られてしまうような人物であったとか。


ならばユダヤ人には評判が良かったかというとそんなこともなく。
つーかどうも、後年ずいぶんと猜疑心が強くなり(周囲で煽るのが何人もいたこともありましたがー)身内との争いが多かったようです。
(別に悪とまでは言わない、てか他民族の王だし。)
あと、Wikiに書かれてるんですけど、どうも建築マニアだったっぽいです。




そして、彼は紀元前少し前に亡くなっていて。
件のローマ軍対ユダヤ民族の叛乱は少しあと、半世紀はたった頃です。


ヘロデの砦に立て篭もった民族の話は、なんかこう、辛かったです。
死の話には慣れているんですが、「自殺の罪を背負うのは一人でいいからです」というのは、さすがに怖かった、というより辛いですよ、それは。
そんなにゆっくりと、覚悟して死に向かわなきゃならないという状況は怖い。
そして今の私には、それがなにを守ろうとしての死なのかわからない。


なんで叛乱が起こったのだか、今無理に知ろうとはしないでおこうかと思います。背景がおぼろにしかわからないので、なにがしかの勘違いがありそうですし。
正直、今読むと、ローマを単に「悪」として捉えそうですし。
そーなってしまうことは私、時にありますが(あまり公平に物を見ようとする性質でもありませんもので)、なるべくなら冷静でいたい。
そうでないと、本当に許せないものが伝わらないよーな気がするんですよね。


ローマ軍が、そんなふうに、身食いのようにユダヤ人が死に絶えているかもしれないと、最初からわかっていたとも、やっぱり思えないので。
弄るような気持ちはあったかもしれませんが。
それ自体がいけないとは、やっぱり思えない、戦争なのですから。どうしても。




そーして。
誰が伝えたんでしょうか、その悲劇の詳細を。
記述はなかったのだと思うのです、さすがにそこまでの時間的物理的な余裕があったとも思いにくいし、推測で状況を導き出したよーな口調でした。ナレーションも。
老婆と少しの子どもが生き残っていたらしいのですけれど、彼らはなんのために生き残ったんでしょうか。そして、その詳細は何故、二千年ほどの年月を越えて今に伝えられたのでしょうか。


私は、どうしても彼らのことが好きです。
どーしても、どっかしらで前を向いて、絶望せずに、いっそそうとしか見えない極端な行動を取っているようにしか見えなくても。それでも伝えようとするところが。
かけらでも未来への希望のよーな気がするので。
世界遺産≫は彼らの悲劇の記憶なんだと思うのですわ私。