#475 ティヴォリのヴィッラ・アドリアーナとエステ家別荘

極めて乱暴に別けるとヴィッラ・エステ(タイトルではエステ家別荘になってるけど、、、意味ほとんど一緒じゃないか?)は生きていて。
ヴィッラ・アドリアーナは死んでいる「遺跡」だった。


しかし、イッポーリト・エステさん(2世)が来た頃には、きっとまだ≪ヴィッラ・アドリアーナ≫は生きていたんだろうなぁとは思った。そうでなければ、わざわざとそこに惹かれて似たものを造りはしないだろうし。
これが16世紀の頃だという。
それにしても、誰のせいか知らないがヨーロッパ系の時は入りづらい。
ちなみに私も、そちら方向の知識がとんとない。常識程度にも達しない。;




ところでエステさん、アナタどう考えても、庭に置いてある彫像。
どう考えても枢機卿(ものすごくぶっちゃけて、キリスト教の地位)が好むには不味い方向性なような気がするのだが、なにか勘違いなのだろうか。
複数の乳房から滴る水(胸から下がブドウ状態;)、別の像なぞは乳房の数は正常なんだけれど(やっぱりそっから水が出てる)、腕と下半身がライオン系。
スフィンクスと、どっかの大地母神かッ?!


いいんだろうか。。。
いや、「ルネサンスキリスト教の暗黒時代よー?」(by母)(そうなのか。)
ということではあるそうなのだが、でも枢機卿だろう隠居しているのかもしれないが、ところでおにーさん、ごてごてしく見えるくせに趣味いいよなっ。
でもなんか露骨にエロ系すぎて、いやらしくはないですな。


「いいんじゃないのー? 豊穣の証っていうし」
いや別に、いいんだけれども、美術品という観点なのだろうし、しかしでも、そんなに人畜無害って神じゃあないと思うんだけどなぁ、胸わさわさのほうが想像したみたいに(顔立ちは違うが)インド系なら、恵みもあるもののかなり怖い神。
いや、そんなに本気で信仰ってのも不味いのか。


母みたいな、利益あればいいじゃん的なヒトという可能性もあるかしら。
(そんな枢機卿は、、、まあいいやもう。)




テラスから見る風景が「絵のよう」に美しかった。
確かにありえる景観ではあるのだけれども、それでも作り物めいている。自然としては。けれど、それが庭だとしたらかなり趣味がいいとは思うんだよね。


力技というか。
自分ではないものも一つの流れの中に組み込んでしまう。




ヴィッラ・アドリアーナは、ローマ帝国の版図が最大の時代(一世代前の時に最大になった)の以下、ハドリアヌス帝が造ったそうな。
五賢帝のうち一人で、さてそれ以上は知らない。


Wikipediaハドリアヌス


人が誰もやって来れないように橋を降ろした池の真ん中で、けれどなんの囲いもないところで一人寛ぐ、というエピソードが奇妙だと思った。
造られた池の下に空洞があり、そこに倉庫があり。
兵士の住居があり。
奴隷が行き来するための通路がある、地上の通路はそれこそ選ばれた人間だけしか使えないことになっていたらしい。




少年の愛人がいて、彼の死を悼むためにカノープスという名の池を造って、その廻りにいろいろな彫像を置いたというのだが。
なんでカノープスなんだろう?
水先案内人なんじゃなかったろうか、それは。
(どうでもいいが、なんとなくワニが気になった。w)(まあほとんどの彫像は持ち去られたというし、ワニは残されたということなのだろうが)


調べたサイトでは事故死。
確か番組では自殺だと言っていたような気がする、まあ2世紀のことだし仕方がないだろうね(記録が複数あるとしたら特に不思議でもない)。


30分番組だし、故人の話は特にされないのだが。


なんとなくその建物だけでも、性格の違いはずいぶんあったように思える。
いや、案外、似ているところもあるのか。


そもそも国はイタリア、ティボリという、どうもかなり古い時代からの高級住宅地。
なんで金持ちの家はどこでも坂の上にあるんだろうか。w
ひょっとしたら、見下ろすためなんじゃないかと思ったりもするわけだが、この二つのヴィッラの造り手の目当ては、その土地の、滝が代表する豊かな水量だったようだ。


そして建物には、誰かを見下ろす意思がない。
ヴィッラ・エステの水の仕掛けは、現在も人を楽しませているし。
ヴィッラ・アドリアーナは、単にあまり周囲に興味がない。


なんとなく漠然と、寂しかった人らなのかなとは思った。