「阿片戦争(中」風雷編、陳舜臣

阿片戦争(中) 風雷編 (講談社文庫)

阿片戦争(中) 風雷編 (講談社文庫)

≪密林.com≫


≪清≫てのは、中国の最後の王朝ですな。
皇帝だけどー(えー)(真面目な話、どう呼べばいいのさ;)。


秦の始皇帝(なんとなく聞いたことがある方が多数、という感じだと思うんだが)から数えてー、っても、短命王朝とか並立王朝とか南北分裂とか異説数えるの面倒い。
まあだいたい概ね、二百年くらいで次の王朝ってのが定番みたいです。
≪漢≫が四百年だけど、一回倒されて再建されてるし。




でもって、二百年くらいたってるみたいっす、清王朝
そろそろ倒れ時ねー、と皆が思っていたのかもしれません。


そいでもって、異民族政権ってのも別に珍しくないんだよな。
そもそも満洲民族っていうらしーですよ、清王朝の支配層。
でもって、それなりに混ざりましたが(外から見るとよくわかんない)、この頃になってもその対立構造を感じてる人らがいたよーです。
まあ全く、あっけらかんと感じてない人もいたりもしますが。




キャラクタは林則徐。
架空の商人、連偉材、その若い愛人(いろんな人物との交流があるので正直面白いっス)(どんな人物のことも、ろ過せずにそのまま受け入れてしまう、という)。


阿片も交えた交易の中心だったイギリス商人。
ほぼ阿片を扱うことのなかったアメリカの貿易商。
彼らの国の若い層、貧しい層(←と被ってもいるわけです)、キリスト教の僧侶なんかもいますし(でも阿片を売る側だ;)。


イギリス側は「野蛮な国に恩恵を施してる」と感じているし。
中国側はまあほぼ同じ、やっぱり恩恵のつもりで交易を「許してやっている」という気持ちなので時々ものすごく擦れ違う。
正直を言うと、英国側のほーがいかんと思う。。。


作者の陳サンはそりゃどうしても中国側ですが。


わざわざ遠くから突然に来て、恩恵もなにもないよなぁ。うーんうーん。
その上、売っている主品目の一つが「阿片」。
でもって、ソレで軍隊はがたがた、大き目の家には一人二人は必ず中毒者がいて、健全な働き手もそれを支えるのに必死にならざるを得なかったっていうんだからなぁ。




いろんな意見があるんですけどねー、正直別に、イギリスが中国に戦争を吹っかけたこと自体が特別に引っ掛かるかというとそーでもないです。
阿片を売ってたこと自体も、うーん。
植民地を食い物にするのも珍しくないのですよ。
国単位でやってるから特別に見えなくもありませんが。


食うや食わずや、という状態ではなかったとは思いますが、まずこれから非難しなきゃなんない! というようなほどでもありませんが。


阿片含む「恩恵」を拒絶されたということで戦争が起こって、「開国してやったのだ!」とか胸張られたらちょっと、かなり嫌だ...lllorz




けれどでも、中国が阿片漬けになっていたということは。
これは必ずしもイギリス側の問題ではなかったのだろうなということを、作者の陳さんも、作中人物たちも感じています。


国がどーなるのかわかんなくて、二百年っていう時間がどうしても悪いのか、王朝自体も精度疲労を起こしていて(名君! ではないけど暴君でもないし、暗君ってホドでもないんですけどね)(林則徐を選んだし)。
そもそも異民族政権だし。
なんとなく全体的に元気がなくて末期。


そんなところに外国は来るし。
(直接「彼ら」を見ていない内陸人はともかく、外洋船やらを見ている沿岸の意識はいろいろある。)




林則徐が戦争を起こすつもりだった、という陳さんの書き方は、どーなのかなぁ、と思います。ありえないことでもないんですが、てゆか、小説だから全然いいんですが。
ただ、避けられないかもしれないなぁ、という覚悟は間違いなくあったと思うんですよね。
そして起こったら、まず負けるということも。


この時代のこの国に、それに耐えられるだけのものがないんですよ。
いろんなものが壊れたあとに、その次を担うものはあるんでしょうか。


そろそろ戦火の兆しが見え始めていますー。
てか、ちょこちょこと大砲がー大砲がー。;