孫大砲(大砲とはほら吹きに対する揶揄的な表現)

私たちの政治経済ゼミ(だったっけ?)は、人がとても少なくて私も含めてたったの3人、先生も入れて4人。
なんで先生を人数に入れるのかというと。
私たちが近代中国史に関して勉強していたからなのですわ。


孫文蒋介石毛沢東訒小平




そんなふうに、授業の初めに一人ずつ言っていくのが習慣でした。
先生は教壇から降りてきて、私の横に座って。
私たち三人は、他の男二人が並んでいて通路を挟んで隣に私。
誰がどう言おうと、どんなふうに終わろうととてもいいゼミだったんだと思っています、そこから生まれたものがあるといまだに言えないのが悲しいけどね。


私たちが共通して気になったのは主に毛沢東


個人的に気になっていたのは蒋介石、先生が一番縁が深かったのはなんというのか訒小平でしたね、まあ年齢があるから(えーと当時60代初め、かな?)。




孫文に関しては、あまりはっきりした印象がない。
つーか、強烈な印象を持ってる人ってのも少ないのではないかしら、いや地味な人っていうんではないんだけど、派手じゃないんだ。
ちょっと説明難しいな、癖はあるけど、どこも優れてないっつーか。。。


いや待て、そこまで行くと悪口だ。えー、あれーー?




さてまず、時代の説明からしよう。


ラストエンペラー』という映画があったような気がするが(なぜ半疑問)、あそこに出てきた≪皇帝≫は。
まあ、日本でいう天皇だと思っていいんじゃないかと思う。
(皇帝/天皇も関係のあるワードです、もと神の名前。)


その最後の皇帝が治めて(ないけど)いた国は、「清」という。




これをぶっ潰したのが西洋。
いやイギリスなのかもしんないけど、面倒だから西洋でいーよもう、だって誰も国治めてないし、潰したなら責任取って治めなさいよね!
なに言ってんのと思われるかもしれませんが、中華思想ってこうなのヨ。


主不在のまま、どっかしらん半端な勢力の血を血で洗う時代がかの国の近代の幕開けだ。もう少し厳密に言うと、そうさせた、vsイギリスの“阿片戦争”をその始まりに据える人は少なくない。
まあ時代区分ってのは、人によって違うんだけどね。




清というのは、トップの人種が大陸生粋の人らではないところがあって(ややこしいが珍しいことでもないし、「生粋の人」つーのも妖しい言い方なんだが)、その下に独自の軍隊を持った存在ってのが清末期からすでにいたらしい。
それに、「清」が持っていたはずの軍が私物化されたりね。
これらは大雑把に軍閥と呼ばれとります。




要は。
中国の近代史は西洋との戦争で幕を空け。
種種雑多な成り立ちを持つ軍閥が争う、その中で頭一つ抜いていたというと袁世凱くらいかしら? このヒトは、あとに出てくる孫文とも少し関係があり。
一瞬ですが皇帝の地位に着いたこともあります。
(即位は認められてないことのが多いけどね、実力は単に事実。)


孫文軍閥の関係者ではありません。軍隊とか全くナッシング。
力を借りたことくらいはあるけど、外部のヒトだな。
ハワイに行ってたとか、それ以前とても地位が低かった華僑系の力を借りたとか、学士であったとか(博士ゆーてたケド、博士号はないらしーとか)、ごちゃごちゃ言われますが。
どれもこれも本質じゃない。




本質つーかなんつーか、このヒト、なーーーんの力もないっ!!!


で、単純に事実として、中国の混乱の時代に秩序を。
かけらでも、争いがその後どこまでも、今でも続いていても、なんの光明もなかったところから、仮初めでも夜明けをもたらしたのは孫文だ。
時代の反映としての英雄じゃなくて。
この時代に孫文がいなければ、歴史が変わったといわれるタイプの人だ。




彼のことは、孫大砲などと呼ぶ向きもあったそうな。
でかいホラを吹くからなのだそうな。その言動は現実を見ずに、孫文に好意的であった周囲の人間ですらしばしば呆れさせたのだという話だ。
英雄だとそのまま言ったら、納得しない人は好悪関係なしにいるだろう。




つまりなんの力もなくて。
ホラだけで時代を変えたということか、すごいじゃないか、誰よりも。