#8 改造

すごく正直にこの回に出てきた“人体改造”に関しては「汚らしいなぁ」と思ってしまうんですが、言っていることの意味は案外わからないでもなく(その対象に個人的に価値がわからんというだけのことであって)、そして、多少突き放した視点で描かれてはいても、その視点があの刑事さん、自分で自分を古臭いという人物としてあったので、独善的だという気はしませんでした。理解できないということもそれもそれでどうしようもないよな。
(いや、私もわからんほうの人間なんですが、まあ。)


両乳房を切り取られ、出血多量で死んだ女性の死体が川原で発見され。
そもそも抵抗した跡もなかったそうなんですが、その脳の記憶を見てみるとどう見ても正式の医療技術に手が震えているとはいえ、外科医らしき姿、ぴかぴかに磨かれたメスにはまるで呪術の儀式のようなフードを被ったたくさんの見物人らが写り。
そして、事件を調べて行くと一人の刑事が、自分と少し前に出会っていた少女の周辺のことだと気付き、心配して探し回るとその人体改造のページには彼女の写真が。
死んで伝説に残る、というのはわからんでもないのですが、へたれ外科医の手術ミスによって死ぬのが果たしてそれに該当するのかどうかはピンと来ず。いくら無料でも命の危険を承知でってのは願い下げたいのですが、そういうものではないんでしょうか。
その死に方だとあくまでその他大勢のままというか、単なる間違って切って捨てられてしまっても当人の自業自得である消耗品扱いじゃなのかなぁ? というか。
ともあれ二つの価値感のぶつかる話で、片方の嫌悪感(とその嫌悪に対する自己嫌悪)がはっきりと表されている、というのは最近としてはちょっと珍しかった気がします。でも、そうならざるを得ないよね、これだけ元の考え方が離れていると。