『CASSHERN』後半

意外と設定の説明しかしてません、前半、珍しい。;


逃げ出した新造人間たちは、ミドリさん。
そもそもの元凶であるところの研究者、≪キャシャーン≫の父親でもある人の奥さんに出会い、命を救われることになります。彼女は盲目なんですね、それで異形らの姿がわからなかったし、もしかしたらそれでも救ったのかもしれないとも思わせないでもありませんでした。彼女はそのまま連れて行かれますが。
それが「浚った」ということなのかどうかはわからない。
単に縋ったというほうがしっくり来るんじゃないでしょうか、見てるだけでも。


そして≪キャシャーン≫は蘇り。
新造人間たちと対立するという意思もなんだか薄いまま、ただ、ただお母さんを救うという感情だけで新造人間たちの繰り出す機械人間と対立します。


いや、その前に逃げ出した彼らが、どこかの国の遺跡に辿り着くとそれがすでに用意されていたんですが、これが実は笑っていいものやら悪いものやらわからない。
なんでじゃきーん、しゃきーんでロボ軍団が出てくるんじゃぁっ。
(しかもなんだか画面が迫力満点だという。)


そもそも溶液から新造人間たちが出てくるのも突っ込みどころが多いですよね。
なんていうのか、どう見ても幼児とか老人とかいるし。なんでこんなにバラエティに富んでいるんだ、そもそもなんでそんな異常事態が起こるんだ?
わりと画面の作りが真面目だから笑っていいようにも思えないし。


そして実際、極めて笑えない裏がありましたしネ。
良かった、笑わなくて...orz




なんのために戦っているのか、ノルマとしか思えないヒーロー物って正直あると思うんですが、この作品のばやいはそれがほとんど前面に出ていて、ほとんど先がない、主人公はこの世界でもタブーであるのだろう「生き返った」存在だし。
世界は新造人間がいなくてもとっくに病んでいて。
とある場所に踏み込んだだけでヒロインともども体をおかしくする始末。


それでもヒロインはまだ真っ当で彼の側にいて、彼女の父親も命を掛けて彼を逃がしてくれますが、それが救いだというのにはあんまりでしょうし。
そもそも生前の記憶を持ち続けてるのかすら見てる側にはわからない。
標準的な常識だけあれば充分なんですよ、意思の必要がない。


身内の軍部は狂っています、その父親を殺して息子が地位について。
んでもってでも事態を収束させる気はない。


敵さんのほうがまともっつーか、キャラクタ立ってたよなぁ、ヒロインに結果的に救われてヒロインのことが忘れられない男がいたり、女幹部(つっても四人しかいないんだけどな)は息絶える寸前に「全部見えた、、、許すよ」なんてことを口にする。
正直、話を引っ張る意味だと思ったんですよ。
こけおどしでなんだか“真理の世界”みたいなものだと思ったんですよ。




この辺の違和感がほとんど全て、一つとまでは言わないけれどちゃんとした設定の上に成り立っているのだとわかった瞬間、目を疑いました。
ええもう、もちろんSFではあるものの、極めて緻密な構成だと思います。
映画を作り直したらハードSFになります、本気でそう思う。


しかもそれが見てる人間をぎょっ、とさせる効果しかないというか...orz


あんなところまで進んで整合性なんて別に欲しくなかった、もっと前にして欲しかった、もう精神世界なんだと完全に考えていたところにほとんど冷水を浴びせられたというか。もうちょっと最初のほうに突っ込んで取っ付きやすくしろよというか。
こんな話が作れるのになんであんな演出にするのというか。。。


面白かったですよ、正直!
なんか悔しいぃぃぃっ!!


命の使い方とか本当にぞんざいなんだと思うんですよ、盛り上げるためですらなく使い捨てるみたいな調子で人が死ぬ。けれどそれはそれ以前に状況が狂っているんです。頻々と画面から伝わってくる狂気は、それが戦争のものだと言われたら。
多分違うのだろうけど、そういう演出だと評価出来なくもないんですよ。


息絶えた女幹部が「なにを知っていて」「なにを許す」のか。
わかる人とわからない人がいるのかもしれません、でもなあ、なんとなくだけどわかる人のほうが微妙に多いんじゃないかなぁ。私はわかる側なんですよ。
すげぇ不親切な話だったんで、そういう評価も悔しいんですけどね。


不思議っていったらなんだけど、異様な話だったなぁ。
でもまあ、評価しますよ。やっぱり。