『茶の味』

『茶の味』
監督:石井克人
出演:坂野真弥佐藤貴広
  /浅野忠信手塚理美


正直に、なにを言っているんだかわからないというか。
なにがテーマかと言われると、とある家庭の可愛い(可愛いなぁぁ♥♥)お嬢ちゃんが、「自分のでっかい分身」が消えるようになるまでのエピソードというか。なんでか知らないけどこれがふと気付くと見守り続けているという、結構怖い状況です。
(別になんもしねぇけど、だいたい教室の隅辺りに顔がすっぽり嵌まってる。)


そのお家の上のお兄ちゃんもそれっぽい体質だった模様で。
森で白骨死体の頭部(鳥の卵だと思い込んだ、ところまではまあわからんでもないけどなんで;)にウンチをしたところ、その死体の主に恨まれて付回され、その死体が発見されてソレがどかされるまで去らず。
ちょうど逆上がりが出来るようになった時にどかされたので。
「逆上がりが出来るようになった」→「男が去った」。
と現在に至るまで解釈(さすがに少年時代の話でございます)。


それを聞いたお嬢ちゃんも、じゃあそれでいなくなんないかなー、と期待してみました。心配なことはただ一つ、お兄ちゃんの場合は他人だったけど、自分自身でも大丈夫なのかしらと。そこの決着は映画のラストで付きますが。




ところであの巨大な「自分の顔」はなんだったんですかと。
意外と精神医学のほーで説明されていそうな気すらしないでもないけど、よくありそうな思春期の自意識過剰という感じもなく、目が合うたんびに「あー、いる;」と極めて淡白な対応を取っていましたのであんなのそもそも出す気がしない。
人に相談することもなく、ひたすら一人で悩んでいます。


というエピソードはしかしさして重要でもないんですが。
(いや、映画の最初と最後を占めているのは本当ですが。)


まあ後はちょっと女に関して怖い思いをして、女性不審になりかけていたその家の下のお兄ちゃんが、都会から来ておいて囲碁とか好きな美少女とちょこっとだけいい感じの関係になったり(待った甲斐があったねぇ、彼女になら頑張る価値あるよ)。
やっぱりそこン家のおじいちゃんが、親類のマンガ家とCD収録したり。


なんで音源収録だけなのに踊るんだ君らは。
自分への誕生日プレゼントで、別に売るつもりはない、そのくらいの稼ぎはあるよ、という特に阿呆な話でもないはずなのに、絵面はとてつもなく恐ろしかったです。ところでマンガ家じゃなくてデザイナーだったっけか、わかりません。
自主制作アニメが挿入されていたシーンなど、どういう関係者だったのかすら全く思い出せないんですがまあいいんでしょうか。




お兄ちゃんが河原でトレーニングに励んでいた人に石を投げたところ、クリーンヒットしてしまってあまつさえ「もう一球!」とかジェスチャーで返されたんだけどそこに監督だかなんだかが来て引き摺って行かれてしまう(奥さんだっけ?)ようなエピソードもありましたっけね。


その意味は、てかなんの説明をしているのかすらわかりませんが。
実にこのままです、きちんと画面を余すところなく伝えています、珍しく。




こんなのが二時間ほど延々と続き、おじいちゃんが亡くなり(妙なことばっかりしてました)(亡くなってもその辺から脅かすために出てきそうな気がしてしょうがない)、彼が家族を一冊ずつスケッチした(ぱらぱらアニメになってる、すごい手間だったろうなぁ)のが出てきたりして、皆でしみじみとしていますが。


特に葬式のシーンがあるわけでもなく。
そのスケッチブックを見つけても本当にしみじみしみじみするだけで、もっと関っておけば良かったとよくある後悔の図があるわけでなく、なんかもう、死んでからも驚かせてばっかりねー、あの人らしいねー、というそんな様子しか見て取れず。
それは生活が描けているとか描けていないとかそんなレベルじゃなく。


どう見ても妙なエピソードが淡々淡々と連なっていきます。
どのシーンを取っても、唖然とすることはあっても笑わされる人のほうが少ないんじゃないでしょうか、あっても苦笑や軽く噴出すような程度で。


貫くテーマがどっかにあるかというと実に謎で。
この監督の作品がテレビで無料で見れると言われても気が向かなければチェックしない(というか監督名わかってない)(一度も見たことがないということだけには自信がございます)だろーなー、といったところで。


しかし二時間損した、という気もやっぱり特にしてません。
そういえばすっかり忘れてたけど、あのお嬢ちゃん、『アバレンジャー』の舞ちゃんだよね、あの子本当に可愛いよね。


うんまあ、なんだったんだろうなぁ、本当になぁ。