『交渉人 真下正義』

『交渉人 真下正義』
監督:本広克行
出演:ユースケ・サンタマリア寺島進
  /小泉孝太郎高杉亘


多分、この話までは納得するのではないでしょうかネ。


スピンオフっつーのはそもそも世界観を共有した別の話と考えるべきらしーんですが、日本にはあんましないですからねぇ。どこが『踊る大捜査線』なんだと嘆くのはちょっと見当違いではないのかと思うんですが。
私だって海外のドラマを調べてて知ってるだけだし(ヲタですから)。
勘違いだとは思うんだけど、それ自体は無理もないのかもなぁ。


それでも、この話まではね。
なんていうんだろーか、ごちゃごちゃっと詰め込まれた感じと無理解の中で自分の出来ることをするのだというソレは、この人が件の熱血刑事さんから習ったというか教わったことなのだと思うんですよ。
受け継がれたものというかね。




地下鉄に「ゴースト」と呼ばれるのに相応しい神出鬼没の車両が現れます。どうもなにかの実験機らしいのですが、正直ビビった。;
あの流線型の期待が細々っと整えられた日本の地下鉄を走ると本気でSFだよな。


そしてその犯人は、どうも警視庁に何度も「らぶ・こーる」をしてきた愉快犯らしーとのこと、そして彼は真下正義さんをその遊び相手として指名してきました。
日本で始めての交渉人としてテレビで露出して目立っているからだと上司は吐き捨ててましたねぇ。


というわけなのですが、「彼」と遊ぶためには真下さんは地下鉄の職員さんに助けを求めなきゃなんないんですよ。独特の会話術でもって交渉を進める真下氏には正直、愉快犯である犯人と同種類の人間なのではないのかという視線が向けられることもあるわけで。
でもって、初期のドラマではそーいうふうに描かれてたと思うんだよね。
真下さんが梃子摺るというか、交渉のシーンとしてよく出てくるのは実際にオタクと言われるちょっと世界を突き詰めたような人間が多くて。
そーして実際に真下さんはその類の人間だとも思える。


でもそれは、「普通」の人間よりも犯人に近いというだけなのであって、やっぱり違うんじゃないか、少なくとも今は。人間ぽい熱いところを持って、そういう視線にちょっとたじろいでも自分の仕事を淡々とこなす。
近い存在であるからこそ、出来ないことをするっていう姿勢につながっててとても良かったんじゃないのかと思うんですよ。




んで、幽霊の地下鉄車両が現れたのがクリスマスイヴ。


真下さんにとっては犯人よりもよっぽど手強い恋人である雪野さんとの約束の日、前に駄目になったデートの埋め合わせっつーかリベンジでさあ大変まあ大変。
なのに自分指定だし。
なんか目立ってたからって嫌味言われるし。


失敗したら、どーなるかわかってんだろうな、と捻じ込まれるしぃ。
地下鉄の職員氏らは隠し事はするし(しかし業務上)、つんけんして話もろくすっぽ聞いてくんないし、隅っこに追いやられるしでいろいろと大変なわけですよ。
なんか妙な広報部がきゃらきゃらと話し掛けてはくれましたが。
(妙なわりにはちゃんとツボ押えたわかりやすい説明してくれましたが。)


真下さんはまあ、こー、ちゃらちゃらしてるわけなんですが。
それはドラマが始まった頃からというか、中の人がなんとなくすでにそんな風情なんですが(失礼)、しかしなんていうのか、中の人がすでにちょっと深く話したらそうでもないんじゃないか芯にどっかしら堅いものを秘めているんではないのかと思わせるところがあるじゃないですか。
けど、そういうふうには変化しないっつーか。
表はあくまでもなんかちゃらちゃらふわふわしたままですよ。


そのままでちゃんと役割りを果たしてます。
なんというのか境界線の上で、けして「向こう側」には行かず。
そしてなんとなくそれを周囲にも感じさせて。




タイプは違うんだけど、なんかそれは、『踊る』のドラマ、主人公の青島さんとは全く違う方向なんだけどわりと持って生まれた特徴めいた、彼らしさみたいなもので生きていくっていう話なんじゃないのかなぁ、と思えたんですよね。


エンターテイメントとしても無茶いっぱいだったし。w
皆がいつものよーにそれぞれの仕事を頑張っているのも見れたし。
正直いろんな内容にかなりビビったり驚いたりしたし。
ベタに熱く、そんな意味や必要がないのかもしれなくてもただ恋人を助けるために駆け出して行ってしまうところも、周囲がそれを嬉しく思うのも。


その展開を迎える頃にはすっかり応援が出来るよーになってましたよ。