『亀は意外と速く泳ぐ』

『亀は意外と速く泳ぐ』
監督:三木聡
出演:上野樹里蒼井優
  /岩松了ふせえり


トリッキーな部門というのをまずこさえて、評価をつけるのならこれが一位。
言っちゃ悪いが、オダギリジョーとか使ってた『イン・ザ・プール』はちょっと完成度が落ちる、うん多分、ヤツのせい。だってあれは劇毒薬だし(指定済)。
とはいえ今まで細々ぶっ壊してきた映画を全部合わせたよりも価値上だと思うけどね。
や、俳優としての。


というか、褒める場所(褒めてますね、珍しく)を間違えてますが。


素晴らしかったです、あんまり興味がなかった『ダメジン』もDVD化した暁には是非とも拝見させていただきます、またテレビシリーズやって下さい、正直これほど明確に監督の力というものを感じさせてもらったことはなかったです。
これほど映画の最初の最初から、最後の最後のモノローグまで一筋たりとも余さず楽しんだ話は今までありませんでした、別のことしてたような気もしますが(してたんですか)(それやるとクライマックス周辺の記憶が大抵抜けます)。


平凡な主婦がスパイをやる話。


とのことですが、嘘は付いてませんがそして多分、外側でやってたっぽいこと(死体とか見付かってたし)や現ナマ札束ぽーん、というところを見ると意外とシビアな世界だったのかもしれませんが。
しかしやっぱり「スパイ」はどうでもいいような気がしてなりません。
や、別のものに取り替えると成立はしないわけなんですが。
つーか、この人が果たして平凡な主婦といえるのかどうかもよくわかりません、トークショーとか開いたら素で人が集まるのと違うかと思わないでもありません。孔雀さんと漫才やるもよし、見に行きます(本気)。


ただまあ、生活にいまいち張り合いがないというのは本気らしく。
死ぬかもしれないという状態に陥ると会いたくなるのは、ちょうど同じ日に一緒に生まれてきた(ご両親別です、病院が一緒だったの)孔雀さん(本名)。
ところで主婦の彼女は、雀ちゃんというそうです。
彼女のご両親に影響を、、、受けきってないように思うのですが気のせいですか。


とてもよい友人関係で、いつもいつも孔雀さんの影に隠れて目立てなかった雀ちゃんは、発明大賞で10万円を獲得、なにをするかといったら孔雀さんにぱーっと大枚叩いて驕ろう! という計画をわくわくと立てていたくらいいい友人です。
そんなものをジェラシーと呼ばれたら他の人たち困るから。
(しかしその前に競馬で大穴当てられてしまいましたとさ。)


えーととにかく、夫は単身赴任。
毎日電話を掛けてきては「亀の餌やった?」とだけ聞いて切るという、ぶっちゃけおめーは亀のために結婚したんじゃねぇのかという疑いすら湧いてきますが、雀ちゃんも似たよーなこと考えてたのかと思います。
単調な生活に変化を付けようとパーマを掛けたら案の定失敗しました。
そんな時坂を上がっていたら上のおじさんがオレンジを大量に落として、屈んでいたら「スパイ募集」の、えーと切手サイズのポスター(つーかポスターと呼んでいいんですかそのサイズ)。


半信半疑ながら連絡して家に行ってみたら。
岩松了さんとふせえりさん、あんまり説明がいらないよーな気がするのはなんでですか、まあとにかく(それ俳優名、役名覚えるつもりはねぇ!)、平凡であることが一番のスパイの資質、と持て囃されてしまいましとさ。
つまり当の二人は全然駄目なわけじゃないですか。
私、一回端役で出てきただけでなんとなく覚える自信がありますがこのお二人。
しかし街中で奇行に走っていたとしても、「あー」と納得されるような人徳を秘めていそうな気もしないでもないので、案外とプラスマイナスで構わないのかもしれません。


で、まあ「そこそこラーメン屋の店主」とか。
しょっちゃう海外に行く豆腐屋とか(凄腕なスナイパー)、その隣の最中屋はホモだそうです(差別用語ですがだってそう言ってたんだもん!)、でも男性好きな方の前で謎のべたべた液体で戯れるのはすげー可哀想だったと思うので。
ちょっとは責任取ってあげて下さい、わりと男前な豆腐屋さん。
や、なんか何回か見てたらそんな気がしてきました。


そいで彼らの連絡方法は首謀者夫婦の奥さんの商店街のアナウンスです。
えーと、録音じゃなくてずっと読み上げているのですか、まあ、毎日いろんな内容を変えることが出来ていいような気もしないでもないんですが、お給料どっから出てるのかなぁ?


ある日、海から死体が引き上げられ。
劇的な「なにか」が起こり、何十年も使われてなかった連絡方法で収集が掛けられ、なんというのか、彼女は置いていかれました。
それ以前にいろいろあるんですけど、うーん、やっぱりあっちの世界の住人じゃなかったってことなのかなぁ? よくわからないんですけど、不満がないわけではないんですけれども(彼女に)なんだか納得の結末でした。
そして彼女はパリに孔雀さんの救出に行くそうです(説明は)。


いや、とても良かったです、素晴らしい。
しかしどこがと言われると、えー? こんな程度の長さの文章で表現出来るくらいなら映画なんて必要がないのではないのかとまでも思わないでもないですよ。