「雲なす証言」ドロシー・L・セイヤーズ

長い、面倒い、回りくどい。


以上全部、小説に向けてではなくて多分それなりに現実の制度を写してるのだろー、貴族制度っつーかなんつーか。多分主ににーちゃん、ピーター卿の実兄ジャラルド公爵(最高位貴族、弟もそれに準ずる爵位を持ってる)なんすが。
シリーズ2作めでがっつり首根っこを引っ掴まれたもので。
今後多分いろいろと楽になるんじゃないかと思います。


いや、殺人犯としていきなりとっ捕まっちゃったんですよ。


当人の評判は別に芳しくはないものの特に粗もないし、見た目と押し出しはよろしい人物のようです、つか頭は些か堅いもののわりと人がいい、ご母堂は誰はばかることの無い大人物だし。ピーター卿は変わり者とはいえ切れ者として通ってるだろーし。
(後半で裁判に現れるのをほぼ全員に待ち望まれていたしな。)
ものすごい勢いで世間に注目されました。




んで、殺されたのは兄弟の妹メアリちゃんの婚約者。
とはいえ、「イカサマ賭博」をやったことがバレて、婚約破棄をされるとゆーよーな嵌めに陥っておりましたが。んでもってそのことで殺したんでないかと言われてたんですね。


イカサマってそこまで悪いことなのか。;
ゲームそのものは別に特に問題ないっぽい文脈なので、なんとなく馴染めませんでした、いやさすがに社会的地位を失うほどってのは、うーむ。


んで、当日の夜のことをなんでかにーちゃんは話しません、荒野をふらふらと彷徨ってましたよーん、みたいなことを言ってますが、まあ普通信じないよな。
身内も殺人なんぞやったとは思ってませんが、さすがにその言い分は信じてません。
メアリちゃんはメアリちゃんでヒステリーは起こすわ熱は出すわ(お母様の慧眼にて仮病であることが発覚)、スカートに血ぃべっとりとつけていてそのこと説明しきれないわ。
証言もなんかふらふら変わるわでー。




とりあえず、なんか二人とも隠してるんだけどなにを隠しているんだかわからない、てか二人を犯人だとすると一人余るっつーか連動してる様子はないんですよね。少なくともなんかばらばら(示し合わせているのならもうちょっとマシに誤魔化すだろ、とゆーか)。
それが個人的なことなのか、事件に関することなのか。
それとも犯人だとしても、今、表にある動機くらいで手を下すよーな性格でもなければ必要性もない(殺された男のほうが格下っす)。


さて、まず妹ちゃんの隠してたことを探りー(これは周囲が部分的に知ってた)。


方向性もろくすっぽわからんにーちゃんのことを探ろうとするも、見つけ出した「手掛かり」にはそっぽを向かれてしまい、縛り首になるんですよー、と説得するも動かせないもので、しゃあないので真犯人を探すことになりました!
そっかー、それが一番面倒なんだぁ。
まあ身内が先になるのはわかるんだけど、アテになんねーな警察。


てゆかさー、一番頼りになるパーカー警部に(ピーター卿と知り合ってからたまに昇進するもんで、確かめないと階級がわかんない)、「マノン・レスコー」とか読ませてる場合じゃないと思うんだよな、いや展開見るとなんとなく話の方向性はわかるけど。
口で本の筋を説明すればいいんではないのかしら、違うかしら。




うん、てゆかこの本で一番面白かったのはなんといっても「堅気で真面目な男だったら警察官のみならず配管工だって大歓迎だろうよ!」などという、妹ちゃんに向けるにはあんまりにも身も蓋もなさすぎる言葉とゆーか。
あんまり縁のない妹ちゃんよりかパーカー警部のほうが大事なんだろうなぁ、、、そういうところやたらとシビアだからこの人。当人がちゃんと事態を把握してて望んでるのなら助言くらいしてあげるくらいはありそうですが、押し付ける気は毛頭ないっぽい。


(前後の事情説明する気はねぇのかよ。)


あと、「手掛かり」さんのものすげー、劇的なラスト。
あーと、えーと、笑っちゃいけないんだけど、いくら小説でも、そういうふうにジョークに(生死を)扱ってるわけではないシリーズですし。
しかしやっぱりなんかこう、込み上げてくるのは苦笑いだなぁ。w




「犯人」がわかってみればなんてことはない。
しかし複層の事情が重なり合うとやたらめったらこんがらがって見える、というのは同時代のアガサ・クリスティーが得意としていたスタイルですよね(今の日本では知名度違うけど、昔は女流作家として並びたてられてたんだよー)。


あー、男って馬鹿。理解出来ない(結論)。