第十七話「水槽」

「魚の振りをして寂しい人間の心に付け込む魔物」というザルバちゃんの説明は、今回の青年には確かに実に当て嵌まっていたけれども、その出会ったシチュエーション自体がどうこうってわけではないけども。
“寂しい人間”が覗き込む水溜りにたまたま漂ってるっつー設定は。
はっきり言ってかなり確率低くねーかとしか思えません。
なんかさー、あんまりにも受動的じゃないか、つーか人すら通り掛らなかったらどーすんだ、多少しか寂しくなくて水溜りだと可哀想だからって川に放してくれるよーな方向に行動されたらどーすんだとか。


無粋なのはわかってるけど、いくらなんでも選択幅が狭すぎる。


しかしまあ、今回の青年は結構良かったです。
むしろザルバちゃんの解説いらない、いっそ怪しい店かなんかがあってそっからついふらっと買っちゃったとかなら怪しくてなんとなくありそうで良かったのにー。
水溜りが跳ねたのを覗き込んだら、という絵も悪くはなかったけどね。




んでまあ、気弱な絵に描いたよーなヲタ系青年なもので。
魚にのめり込んでしまいにゃ、昔付き合ったことがあるのかな? それともからかわれたのか、振られたのかよーわからんのですが。とにかく女性を家に連れ込んで、ぶち殺したら魚が彼女を飲み込んで彼女の顔と体になりました。


そーなったらまあ執着するのもわかんないでもないですよ。
私的には魚のまんまのほーが可愛いと思うけどね(寂しいとかそーいう大前提を忘れるなよ)、つーか、そこまでして人間がいいなら努力せんかい!
中身だけ異形の外見は女の存在を飼いたいってちょっと我が侭すぎないか?!


ごめんなさい、隠微とか妖美とか、なんか大前提忘れてマス。
(てゆかそんな考え方をするのならそもそも話成り立ってない。)


でーもーさー、所詮振られた女の顔がいいんかい、ということになったらちょっと「けっ」とかは思いませんか? 思いませんかそーですか。
まあ、そんな未練がましいから付け込まれてしまうわけなんですね。




ちなみにそんな状態で、元魚現半魚はホラーってやつなもので。
やっぱり餌が必要になるわけで、どーもこの青年は絵描きらしーんですが、そのツテでモデルを呼んだり、、、してたっけ?(なにぶん見たのが随分と前で)
結構高価だったよーな気もするから無理かなぁ。


うんまあ、そんなこんなでカオルちゃんに声が掛かりました。
なんでやねんとか言っちゃ駄目だ!!
今回は選んだのが別にホラー自体じゃなくて、単に魅入られて利用されてるだけの青年なのになんで声を掛けられたかというと、こーが君がわざわざ頼んだからだったかなぁ?
でもよくもまあ、半引き篭もり青年が声掛けられたよね。


やっぱりなんか「言うこと聞かせやすそう」に見えるんかね。
そーいや、バイト先でもセクハラされ放題だったし、そんなところなのかねぇ。なんかこう、そんなところでリアリティを微妙に醸し出されると切ないっつーか。;




で、まあ、半魚女はぶった切られるわけですが。
身体的にはなんもされてない青年の嘆きっぷりとかは結構良かったんですが(いやサディストだからじゃなくて、なんか話のテーマ的にね)。


ここでカオルちゃんが「あたしを利用したの?!」とか言い出しました。
えーと、うーんと、確かに利用したっちゃあ利用してましたが、でも本気で正確には今回が初で今までは君が勝手に出会っちゃってたのを助けてくれてたんだと思うんだ。
てゆーか、公園をふらふらっとしてただけで引っ掛かったんじゃーん!
あああなんか、間違ってるとまでは言わないけど納得がいかない...orz


いや、変だって言ってるわけじゃないんだけど。
なーんとなく全体の流れに乗り切れなかったよーな気もします。でもここまで来るまでに結構重要なはずのエピソードもぽろぽろ落としてるからよくわかんないなー。
(零ちゃんの恋人絡みのとかやっちゃった。;)




あとこれは、主にこの話がこーが君側から(当然のことながら)見ることが多いってことに関係している可能性もありますか。
むしろ「ホラーの餌にする」というのを最初本心だと信じちゃってた身なんで逆に尚更なんですが、こーが君にそーいうつもりが全然なかったしね。
今回だって、あんまり気が進まない様子だったしさ。
いやでもそんなことはありうる誤解の典型例にすぎないよなぁ。


えー、今更気付いたの?! 的な意味なのかもしんない。。。