『晩春』

『晩春』
監督:小津安二郎
出演:笠智衆原節子
  /月丘夢路


実言うと、原節子さんが奇麗なのかどうかわかんないけど。
(ごめんなさい、美醜判断機能が人形顔以外に働かねぇんだ...orz)(人形顔だと好意があるかというとそんなことはないわけだが。)
魅力的って言われたらすごーく納得ですよ。
男の人が好きかどうかはよくわかんないけど、ちょっといいな、と思うのってこういうタイプなんじゃないのかなぁ。女は結構好きだよね。w


こないだ、≪ドラマコンプレックス≫枠で『娘の結婚 −晩春より』という番組があって、そちらではこの原節子さんの役を鈴木京香さんが(正直小学生の男の子に憧れられてる役の東京ガスのCMのほうが好きだなーw)(ドラマと比べてごめんです)やってらして、ちょっとだけ違和感があったんですが。


なんていうのかなぁ、「我が侭を言っても許される」から言ってる人みたいに見えてしまったんですよね。自分の言葉が受け流されないことをわかった上で、わざとちょっと人と違うことを言ってるみたいな。
それが悪い印象だったかというとそんなことはないです。
でも無垢に見えたかというと、それは違うかなぁと。




んで『晩春』、つーか原節子さんは本当に無垢なんですよね。
おじさんの再婚に「不潔よ」と言い切ってしまっても、お父さんの再婚に本気でむくれてても(結構なお歳なわけなんですが)。
「仕事をしようかなー」と呟いて「貴方には無理よ、とっとといい人に貰われなさいよ」なんて言われてても、多分今の人が見ても違和感ないんじゃないかなぁ。
ちゃんとそういう人に見えるし。


なにより、彼女にしかない魅力に見える。


てか、彼女がいたら我が侭言って欲しいなぁ、、、♥
鈴木京香さんはそこまでは思わないんだよね)
(我が侭言っても許せる、というところ止まりなんだよな。)
(いやでも、比べちゃうといけないんであって、原節子さんの魅力を万人が持つべしなんて無茶だろうから悪く言うつもりはないっす。w)




話は非常にシンプルで、とーちゃんがいます。
かーちゃんが亡くなったので、娘と睦まじく暮らしてるわけなんですが、この娘が30を過ぎても結婚しようとしない。世にはそこそこ独り立ちしてる女性もいるわけなんですが、この人はそれには向いてそうにない。
(でも父ちゃんが食べさせてくのは無理ではないでしょうね)
(先に逝っても多分遺産でなんとかなるよなぁ。)


んで、彼女が結婚するまでの話です。


冒頭付近から、そこそこ仲のいい、結構な良さそうな男性が出ていて、父ちゃんとも仲いいし(娘と結婚しないかなぁ)とか薄ぼんやりと期待してみるわけなんですが、その話を娘に振ってみると、「嫌だ、今度あの方結婚なさるのよ」という答えが返ってきたりもします。
一応、互いに仄かな感情らしいものも見えるので。
彼らが結婚しない理由ってのはよくわからないんですが、それが作中で語られることもまたありません(感情もものすごく遠回しに匂わされるだけ)。




この娘さん、女性らしいっちゃ女性らしいんだけど。
なんというのかちょっとこう、潔癖というか、「お父さんと暮らしてるのが一番幸せ」というのが強がりでもなんでもなく本音なんだろうなと思わせる辺りとか、変わったところもあります。
けど、そういうのも含めて魅力的なんだよなぁ。


喋り方なんてのも、彼女以外がやったらただの気取った人でしょう。
でも、この聞き取りにくい(古いから;)声も非常にいい、吹き返ようとすれば出来ないこともないんですが、なんというのか勿体無い。字幕が付いてもそっちの措置が文句なしに正しいです。w
立ち振る舞いまで美しい。
顔も結構美形なので、さくっとお見合いが決まるのが不思議でもなんでもありません、まさになんで結婚してなかったの? 状態。
(「結婚できないわけじゃないの、しないだけなのよ」と強がりっぽく言ってるわけですが、強がらなくても見ればわかるっつーの。ww)


しかしこれは、古き良き男の映画でもあるんでしょう。


父ちゃんの格好よさってのは、ちょっと見ないとわかんないと思いますが、彼の娘についた嘘や、親子の会話は本当にどれを取っても美しい。
娘さんが、結婚しないでいいや、という理由もわかりますなぁ。


そしてストーリーの展開ではなく、一個ずつ積み立てていく、シーンの巧妙さってのがなによりこの監督の作品の特徴なわけなんですが。
それはまた『娘の結婚 −晩春より』にてっ(リメイク)。


(なんか逆じゃないか、なんで鈴木京香さんがこっちなんだ。;)