『12人の優しい日本人』

『12人の優しい日本人』
監督:中原俊
出演:塩見三省豊川悦司


あ、豊川悦司を見たのはここでかぁ(>『弁護士のくず』)。
この役は好きですねーぇ。w


新選組!』でも思ったけど、トレンディ俳優? だだだ、大丈夫、だよな。;
トレンディ俳優さんの使い方上手いっすよねー、三谷幸喜さんて(脚本を担当してられますだ)。坂本竜馬さんもいいよなー。ww
(俳優名は覚えてナイ、だって別に好きじゃないし。)


んなことで行数を稼ぐ、よーな出来とかじゃないです。
この映画の元は、多分有名と思うんですが(この映画を知ってる範囲内で)(この映画だってそんな有名ー、てわけでもないだろう、三谷さん絡みでは知られてるのかな?)『十二人の怒れる男』というののパロディです。
見たほうがいいと思います。
こんなに、こー、なんていうのか、その、うーん。
ヲタ精神っていうか、隅々までっていうか、誰に対してでも、というか。この人はとても原作の映画を好きなんだなぁ、と思わせてくれるのはなかなかないよーな気がします。




なんていうのか、映画の辻褄を捨ててでも、登場人物を幸せにしたい、というか。んでもって、そのために、辻褄もちゃんと合わせましたよ!
伏線にもしちゃいましたよ!!


てな感じで。


いや、なに言ってんだかわかりにくいと思いますが、「物語りを面白くするための要素」が登場人物の、なんていうのかなぁ、幸福につながっているんですよね。幸福ってほどじゃないんだけどさ。
なんていうんだろう、ここに来た全員が、この判決に関ったことで関る前よりもなにかを得ている、というか。うーん、やっぱり幸福かなぁ。


十二人の怒れる男』を見た後は、なんかやたらと寂しかったんですよね。ものすごく、どっからどこまでも張り詰めてて面白かったんですが、終わってみると、ぽつ、と穴が開いたみたいな気持ちになりましたし。
なんだか恐ろしかった。
人が人を裁く、ということの恐ろしさだったのかもしれません、あの、被疑者の少年というだけのことではなくて。




そして多分同じように、この映画も作られているんだと思うんです。
人が人を本当に裁くことは出来ないのだと。


それは、陪審員のリーダーの人が、昔判決を下した男に対しての自責の念に苦しめられていることでも表されているように(その時はもっと状況が単純で、悪を裁く、というのに近かったようなのですが)。


この事件は、一人の女性が、復縁を迫った男を突き飛ばした。
(と推察される状況になっていた。)
そこにダンプがごー、で男がぺしゃんこになったのですが。
それが殺人であるか否か、事件に関っていたかいないかを審議する、というよーな状況です。


男が酷い。
そして、女が健気で子持ち。


ということで、皆が無罪に傾いていたのでした。めでたしめでたし。
これは、パロディ元とちょーど逆になってますね、その中で一人だけが「有罪」と言い出しました、根拠はないとのことなのですが、もう少し状況を考えてみたいのだと、そのための行動でした。




私はまー案外、「死んじゃえー!」と本当に叫んでいたのではないのかと思うんですが、で、それを受けてのあの行動ってわりと筋通ってません?
作中では結論出てなかったですけど、そうかな、と。


正義の味方は一人もいません。
そりゃ、弁護士(かもしんない、つか陪審員駄目じゃなかったっけ?)のにーちゃんはそれに近いかもしんないけど、それっておばあちゃんの味方してあげたかっただけってふうにも見えなくもない。あと悪戯心。
「あたしー、わかんないー」という女の子はいるし(子持ち)。
メモってる女性はメモってる内容しか喋らないし。
テンパってるおっちゃんはいるし、一人のおっちゃんはむやみやたらと横柄だし、おばーちゃん鼻血出すし。


飲み物取るし、ピザ取るし(証拠物件、かー?!)。
人が人を、という以前に、こいつらにゃあ無理だー! と思うこと請負です、あはははは、頭いい人は数人いるけど使い方なっちゃねぇよ。
そりゃまあ、素人だから当然ですが。
でもなんつーか、優しいよね。


彼らの出した結論が、真実であってもなくても私はそれを支持しますよ、だってなんていうんだろう、それが人間の行える精一杯という気がするんですよ。