『陽炎座』

あと、子ども芝居もなかなか。

『陽炎座』
監督:鈴木清順
出演:松田優作大楠道代


芸者さん? てほどにちゃんとしたおねーちゃんじゃないのかな。
まあとにかく、目を隠してお弁当のおかずを探り当てるという遊びを客(だよね)とやってたんですが、「まつたけ!」と客が言い。
おねーちゃんが客の裾から箸突っ込んで、「きゅっぽん」。


――と、まつたけが出てまいりました、生。まるごと一本。


や、私の物言いが隠喩なんではなくて、生のまつたけが客の裾っつーかズボンの中から。てゆか、そんな特に見るよーなシーンと思ってたわけではないので、詳細はわからないのですが、確認とかしてませんが。
「美味しそー」きゃっきゃっきゃっ。
「喰えるモンなら喰ってみやがれぇっ!」
という展開から見て、多分間違えてないと思います。


なあ、鈴木清順監督よ。
美しい画像を撮ることで定評があるらしく、(今の)若い女の子にもファンがいたりする、、、てゆか、『オペレッタ狸御殿』撮ってんのか、わけなんですけどもさ。ああ、いや、なんの話だっけか。




つーかそもそも、「わかりにくい」とかゆー触れ込みで見たわけですよ。
理解しずらい? しかし、高尚というのとは少し違って、捩れていることは捩れていると認めた上でまあ、難解と。
難解というか、なにがしかの隠喩を多用して、深ぁい意味を持ってると。


嘘つけぇ。


上のシーンに、意味があるとしたら、私は女だからわかんないけど実は「取り外し可能」とか(むりむりむりむりむ、かたつむり♪)、電車内でそこまではしちゃあいけないだろう、せめて客席では、という意味以外ないと思うんだけどもさ。
そんな他愛ないギャグにいちいち騒ぎ立てるなんてと思うかもしんないが。
浮いてねぇんだってば、そのシーン別に。そんなだよね、映画。




まー、時間空間が確かに捩れてんで、よくわからんことはありますが。
つぅか、「ほおずきの女」の顔がシーンが変わるたんびに違うもので、そのたびに素直に混乱していたり、「死んだはずの女」とよく似ていたもので、本気で見分けをつけようと試みようと考えただけで実行はしなかったので。
至極、騙し甲斐のない客だったことでしょう、やーい、ざまみろ。


意地とプライドの話であって、あとはもう、言葉遊び。
てめぇの口にした言葉でもって縛られてるとゆーか、ほおずき売りの老婆がどんな存在たろうとも、獲物が望まない限り取り込める力なんぞないよーな気もするんですよね。
少し力を貸して舞台を作ってやっただけで、結末は望まれたものでしょう。


むしろ、まあ、親切といえなくもなくもない?
滅びたかったのに違いないのですから、彼女たち。




そーして、男の、松田優作氏の気にしていたのは、始終「ほおずきの女」の気持ちだけで、案外と彼女に惚れてなぞなかったのかもしれません。もしそうなのならば、だって心中をしようという申し出を喜んだよーな気がしますもの。
まあ、あんな狸が側にいちゃあ、嫌になるのもわからんでもないですが。


その辺りはよくわからないし、まあ、さして気にしません(ちょっと待て)。
しかし、置いていかれてしまうのはとても寂しく、虚脱に襲われる気持ちはとてもよくわかりました、ええ、置いていかれてしまうのはとても寂しい。
だから、己で彷徨いこんだこともあるのでしょうが、迎えにきてくれた時に良かったねぇ、と思わず喜んでしまいましたとも。


そーして、女はすでに亡く囚われの身、男も魂が抜け出して。
各々、背中合わせになった時には。
確かに、男にも女にも、情の存在はあるのだと思うのですよ。




狸な親父(男爵だケド)も、イレさんも当然含め、愛する能力の欠いた人間ばかりの集まりで、その感情をただ身に受けようとばかり画策しあっていたとゆー、そういうよーな幼稚染みた話なのではないのかと思うのですが。


まあ、愛情の構図というものが、案外そんなものかもしれないという話であるのかもしれません。リアリティがないのかといえば、筋を抜き出せば陳腐なストーリーとしか表現が出来ないくらいに、大いにありますよねぇ、現実味。


まー、大概に表現方法が捻じ曲がってる上に、時間空間が狂ってたかと思うと正常になったり、思い出したよーに、最初とは別の狂い方をしたりしますが。
アレは実際きっと、思い出すっつーか、実際特殊な空間設定にしていたことを忘れてしまうんではないのかと思ったんですがどうなのでしょうか。なんとなくそーいう監督かなぁと。
気にしたほーがいいんではないかと思います、とか言ったら怒られそうです。
や、最初から最後まで時列が狂ってるほーがさー。
うーん、あの生々しさはないのかもしれない、てゆか、あれはまあ、確かに人間の頭の中を覗いたような不条理感ではありました。こーの露出狂が♥


あ、ベッドシーンで、男がよがるのどーかとは思いますー。
つか、美しすぎて色気ないなーっ?!
髪洗ってるシーンのほうがよっぽどじゃんな。胸とか。