『櫻の園』

『櫻の園』
監督:中原俊
出演:中島ひろ子つみきみほ


女子高伝統の戯曲・櫻の園の上演を行うのは創立記念日だったかな。
それとも新入生歓迎会とかかな?
どっちにしろ、桜の咲く時期に連綿と行われている行事のようなのですよ。


こっちの戯曲のほーは私、読んでます、ぼ? えーと、誰だったっけ...orz
なんか面倒臭いっていうかややこしい過程を経てるんですが、この映画の存在を知った時に劇中劇として出てくる、と聞いたので読んだのですよ。ただ映画をどこで聞いたのかの記憶が全くない。;
マンガ原作なので、マンガのほうから聞いたのかもしれません。


まあ女子高で女の子たちがごにゃごにゃ、と聞くとあれですよ、吉屋信子さんとか思い出すと思うんですが(古い)(てか知名度高くないから)、あんな少女マンガみたいなことはしてません。てかいや、原作少女マンガですが、いやそもそも、現在の少女マンガを実はほぼわかんないわけですが。
少女小説、、、はファンタジー全盛だしなぁ。
つーかおかしいな、80年代組だったかと言われた少女マンガ家らの読者は一体全体どこ行った(韓流ドラマとか?)。




いえすみません、この原作のマンガ家さんはいわば対極なんですわ。


男性読者を多く抱える、どっちゃらかというとハードボイルド路線に近いようなものをいくつか物にしてたはずです。読んでないんだけどね(女ヲタなのでかなりの確率で読んでいると思われるんですが、長いんだもんアレ)。


でもなーんか、元は知らないけど映画はそんなものよね、というか。
(どっちの意味だよ。)
櫻の園の劇自体に、思い入れがある子ってのはいないんですよね、没落貴族が自分の愛した土地を手放すかどーかっていうような内容だし。いやまあ、皮肉が効いてて私はちょっと面白かったけど、わかんない人も少なくはないでしょう。それが劣ってるってことでなく、悪意の存在を知ってなきゃちょっとね、わからないかなと。
「悪意」を知ってるかどうかってフィクションを楽しむ上で大事だよね。




恋人を引っ張り込んだ女の子も、「わかんなーい」と言ってしまうし。
演劇部の子が一人、喫煙を見付かったとかで劇の存続自体も危ぶまれる、そんなことを聞いた部長さんは頭にパーマを掛けて登校してきてしまう(でも劇にはぴったりだよね)(そんなこと廻りの子にも言われてた)。
(普段は相当真面目な子らしーんだよ。)


さてなにを描きたいのかなぁ、というか。


乱れた高校生の実態! なんてことになるのならば、なんというのかさして面白くはないよなぁとか。いや、そーいうのが楽しい人って正直女子高生に興奮するのとかとあんまり変わらない趣味じゃない?(性別に限らんと)
どこに話が運ばれるのかしら、と思ってました。


なんでか知らないけど、部員たちが全員呼ばれてから誰かと誰かが二人っきりになる構図が多くて、最初の頃呑み込めなくてはらはらしたんですが(もうちょっと無理のない設定にならないのかな;)、どうもそういうものらしく。
背ぇが高く、男役ばかりやってきた女の子とか。
今回は主役の貴族の女性なので、女役ってのに引っ掛かっていたり。
彼女が自分の胸を気にしていることに気付いて、そっとコサージュで隠してあげるよーな、細やかな部長さんとか。


喫煙の彼女は(同行者が吸い始めちゃったんだって)(まあ止められないよなぁ、普通)、部長さんのことを「すごーく素敵な人がいるんだよ」とか褒めてるし。
(劇の中で彼女に惚れている役をやることを密かに喜んでいたり。)




――私たち教師にとってはずっと続くうちのたった一年のことでも、あの子たちにはたった一度しかないんです!


と主張する普段は頼りない女の先生とか。
その言葉を聞いて、ちょっとじーんとしてしまう生徒たちとか。
(職員会議を生徒たちが覗いていたんですね、孤軍奮闘してたんだとか。)


まあ悪くはなかったんですが、説明すると無粋なんです。
「○○さん、だーい好きっ」というのもなぁ、書くとかなり雰囲気変わりますがな。なんていうのかなぁ、最初の辺りのごたごたがなかったら、なんか全体的に世界が浮いてしまってて、誰かのオナニーみたいになっていたような気もしないでもないよ。
オヤジの夢見る女子高生、てか?
(なぜにそこまでキツい。)


多分、「なんでこのままでいられないんだろう」というのが主題だったと思うんです、思い切りよく触れてませんけど(本当にな)。
あ、あと予告篇は本篇のあとで見ると吉です(本篇に実は存在しないけど;)。