第9話 「冤罪」

またしてもよく見てなかったんですが(言及するか;)。


ていうかこれ、2時間サスペンス向きの題材じゃあねぇの? 弁護士か刑事辺りに焦点を当ててこそ生きる題材なのではないのかと思うんだが。
せめて加害者と通じる立場でないと、ほとんどの意味がない。


少し奇麗な表現をしてみれば。
歳月というものの痛み、という話だったとするのならば納得しようか。




「妹」にとってどれだけの比重を持ったものでも。
関係者たちにとってはさほどではなかったという残酷さならば多分評価したと思う。つーか、正直、どことなくそういうものは匂わされていたよーな気がする。


「冤罪」というにはちょっと迫力がねぇし?


だから人情サスペンスが良いだろうと言ったのだね、右京さんと亀山くんを噛ませるとむしろどことなく感情が沈静化されてしまう傾向がある、良いにしろ悪いにしろ(悪いというのはドラマ的な盛り上がり、ということだが)。
あのように、暗く、正直間違った復讐で話を閉めるのならば、彼らに走りまわさせるべきではなかったのではないかと思う。


あれでは手段を選ばない「復讐」の正当化ではないかしら。
勝ちか負けか、でいえば負けだろう。
彼らのせいではむろんないが、そして同情の余地は確かにないのかもしれないが、あれではなにも出来なかった無力、にすぎないだろう。
クライマックス、国家権力に対してならともかく。
一人の女の執念の前にそれ、ではあんまり『相棒』らしくない。
(ドラマとして悪いとは言ってない。)




母が、右京さんの。
「これはまた立派な凶器ですねぇ」
に吹いた。まあ、この人は犯罪捜査が趣味みたいなもんだから、等々、私が言ったらば「亀山くんの教育に悪いわよねぇ」(会話中略)というような結論に落ち着きやがった。


おかーさん、あれは実年齢40代で役年齢も30代だったはずです。
それから自分で「犬」言うんじゃありません、右京さんも右京さんですよ、「飼い主ではありません」のあとに「上司」ですとか言って下さい、相棒とか言ったら逆効果ですけれど、確かにアナタたちは上司と部下に見えません。
誰がどう見ても身内です。
たまきさーーーん(←大好き)。


今日の美和子さんも格好良かったです。
でもあんまり何度も使われたシーンすぎて、、、まあその、ね。うーん。


ところで官房長官・小野田さんが出ていたネ。
相変わらずのセクハラ発言があるのだが、なあ、特命係以外の人間がいるところで「お願いなら聞くんだけどねぇ」っていいのか、本気でいいのか。どこの特殊関係人だ、本気にされたらどうする。




しかしやっぱりあんまりその部分は聞いていなかった。
どーしても冤罪に比重があったよーには思えなかったんだよな。
そして、警察内部の〜、もいい加減同じ内容使いすぎだよ。小野田さんが切り捨てた辺りはまあいいとして、けれどそれでも目新しさはなかった。


どうにもこうにも、20年の歳月の重みがないのだ。


それはまた、右京さんの凄みであるハズだし、彼らが当時にいればそんなことにはならなかったということでもあるんだろう。
けれどそんなことは、今更示されなくても知っている。


どうしても、女の「復讐」ばかりが記憶に残る。
ほとんど声を聞くでもない彼女の、特命係の立場からするとそれもそれで許すべきではないはずのそれ。
せめてラストで急に、意図が見える、というのならばまだともかくも。
それは作中で延々匂わされているのだ。
なんでまた今更、亀山くんが驚いたりするのかというふうにすら思った。




下手だったは思わない、手馴れてはいたよーに思う。
(脚本氏の知識があるわけではないが、違うのならば、少なくとも確実にサスペンス慣れをしている、受け手かもしれなくても。)
身内の描写などはなかなかに悪くなかったし、『相棒』経験があるかないかもまたわからないが、ここもまた手堅かったと思う。


すっきりしない話だったし。
それなのに釈然としないものすら残らなかった。


ただまあ少し、彼女の話は聞いてみたかった。
どう思っていたのかな。