『インファナル・アフェア』

うん、面白かったー。

『インファナル・アフェア』
監督:アンドリュー・ラウ
出演:アラン・マックトニー・レオン


ラウさんが求めてたのが結局、信頼であったよーな気のする話でした。


てゆか、ラストの墓はなんで3つあるのだ。;
(いくらなんでもそこから書くか。)


ヤンさん(警察→マフィア)に感情移入するか、ラウさん(マフィア→警察)に感情移入するかでわりと話は違って見えるのかもしれませんが。
あと、ウォン警視とかサム氏とかー。
別段、さしたる思い入れを持つことなしに見てました。


どっちかというと、シーンシーンでその場の中心人物を応援してるっぽい感じ? 下手をするとサム氏まで応援してしまうので、その無軌道っぷりが伺えるかと思います。
てか、キョンさんとか!
彼は結局、ヤンさんを疑っていたんだかいないんだか、裏切られても好きだったのか裏切られたと思いたくなかったのか。
ただ死んで欲しくないとだけ考えていたんだか。




微妙に、裏切りがテーマではなかったように思います。
でも信頼でもないよーな気がする。


なんていうのか、ラウさんが冒頭でサム氏に言われていたみたいな「なにをしたいのか」というそれだけの話だったんじゃないかと思います。


ラウさんも、それを顎で使うサム氏も。
ヤンさんも、それを指揮するウォン警視も。


スパイであるとかそーいうこと以前に、二つの立場の中でゆらゆらと泳いでいなくてはならない。それは広く情報を集める、ということかもしれないけれど。
警察はマフィアの。
マフィアは警察のことを共有するということでもあるのですよね。




てゆか。
ヤンさんが許せなかったのは結局、「ウォン警視の死」だけでしょう。
ある意味であまりにも似通った立場のラウさんに、荒れて自暴自棄になりかかってた時期に手を差し出されていたら、目の一つも眩んでいたと思いますけれど。


むしろ、そうなりかかっていたのがラウさんでしょう。
ヤンさんの「潜入の気持ちはわからない」という言葉に、はっ、と顔を上げたシーンとか。出世するというよりも、評価されたってことに心がぐらついているよーに描かれていたところとか。
そもそもウォン警視が死ぬきっかけになったことだって、サム氏の追い込みのためにやった素振りがありましたからね。まあ、どちらに転ぶかわからないが、程度の賭けでもあったのでしょうが。


彼の言う「善」があまりにも浮いて見えました。


そしてその印象のままに、口を拭って生きていくのを許容したかのようになにもかも、ラウさんのことが明るみに出ないまま幕が閉じても、別に不快でもない。
あとに付け加えられている、言葉、というか主題歌のせいじゃないでしょう。
――長寿こそが最大の苦しみ?


そんな取ってつけたよーなことを言わなくても。
足場のない世界で生きていくことの辛さくらいは、皆、なんとなくでもわかるものなのではないでしょうか。




携帯電話の向こう側。
ラウさんのよーな映画館の情報のやり取りこそが「自分の真実」?
それは哀れでしょう。


青空の下で、日を恥じる必要はない、とは言ったヤンさんだって似たようなもの。
彼は、ウォン警視が目の前に落ちてきて、それで全ての経路が決まってしまってもう戻れなくはなってしまいましたけれども、そーでなければどちらにも属さないままでいたと思いますよ。


ウォン警視の死は、単独で見ると酷く残酷でしたけれど。


そうもしないと話に幕は下りなかったのではないかな、けして。
ラウさんもサム氏を殺しますけれど、ね。それで世界が固定したわけではない。だからヤンさんに拘ったし、取り繕って善を口にしたりする。


そして生き残る。


その時点で、全てが自己保身のためだったかのよーなそんな構造になってしまう。
けれど釈然としないものはあれど、別にそれで構わないかとも思えるようなそんな締めでもありました。
感情移入はできませんでしたが、ま、不可欠でもないでしょう。
美しくはないけれど、哀れだなァ。