「バッカーノ!−The Rolling Bootlegs」

≪密林.com≫

由緒正しき、ライトノベル、チープ志向(褒め言葉)。


ていうか、この本に対し「ご都合主義」を批判の言葉として使う人間はちょっとこう、正気に返ってこいと言いたくなるような本です、まあまずいねぇ。
いくら薄ら呆けが着々と増強してきているといわれる今日の日本でも、いくらなんでも日本語が読めてそんなことを言い出すこともないでしょう、というレベルの本です。


だって、最初から最後まで偶然じゃない部分ってどこにあった?!


という本ですってば。
何百年単位の、精密な設定を立てているわけです、人間の描写も組織の描写も悪くない、マフィアじゃない、独特の名前の組織をつらつら説明しているところなんて、うっかり似非(それでも似非)インテリぽいと勘違いしそうになりますが、騙されているだけです。
そしてまた、敵対した相手への冷酷さは、最近のジャンプ漫画なんぞの足元にも及びません、口で奇麗ゴトを語りつつ実は自分の価値観に相容れない相手を排斥する意思がばりばりだったりしないんですよ!(含みがさすがに出すぎです)(抑えて抑えて)


身内じゃねぇから殺す、というのはそれでいいでしょう。
裏社会を曲がりなりにも扱うのならば、それを知りながら読む人間にその程度の覚悟は求めていいと思いますよ、娯楽が万人向けである必要性なんざどこにもない。
(まあ、目指すのもまた構わねぇとは思いますが。)
(見果てぬ夢ってかー?)




けれどなぁ、チープってのは精神だッ!
展開こそが安っぽさを決めると思うんだよ。


身内に可愛がられる、熱血の可愛らしい男の子。
情緒の薄い女の子に惚れてしまって走り回るというベタ展開のおまけつき。
しかもッ、それが敵(なかなかどんな相手かよくわからん)(今もいまいち!)の首領の側にいるというのですよ、絶対的に逆らえないハズなのに、その女の子も多少は男の子を振り返ったりしなくもないんですよ。


そこに、飲むと不老不死になるという酒が絡みます。


どのよーに絡むかというと偶然です(どきっぱり)。
しかも、この子には身内がいるわけですが、組織を越えて仲間意識を感じる相手なんてのもいたりするわけですが、偶然に次ぐ偶然の連続によって、ほぼ全員が全くばらばらに事態に関っていくことになります。
しかも!
近くにいるからとか、なんかの事情が絡まったとか(やっぱり身内だしね)そういう小細工ナシッ! あくまで偶然です偶然、誰であってもいいような状況のみ!
(じゃなかったかもしんないけどいいじゃんそんな瑣末)(をぃ。)




数百年だったか、百年だったか前に。


不老不死の酒をもたらしたのは、悪魔。
契約によって呼び出された悪魔が告げた内容は、そこは、それだけはチープの呼び名からから逃れてもいいとは思います、「遊戯」。
悪魔がなるべく長く楽しめるように。
いや、一瞬で終わるにしても、なるべく事態が複雑になるように。


けして死なないけれども。
お互いが、お互いを吸収することで相手の知識と力を得ることが出来る。
そして当人ら同士は、けして偽名を名乗ることが出来ない。


残酷なことに、お互いがそのつもりがなければ、欲をさえかかなければそれぞれが不老不死のまんま、のんびりと生きていきてもいけるという。
けれど基本的には、殺しあえ、といっているよーなものですねぇ。
そして不老不死の酒の作り方は、ただ一人にだけ伝えられます。


はっきり言って、これも選ばれたよーに思うのですが、リーダーではありましたが、彼はその力を人間のために使おうとしていて、けれどその目的のために相応しくないと気付いたから沈黙してしまって。
そして、その集団の中で、もっとも強欲な男が暴走を始めます。




その男は、結局自力で「酒」を作ることに成功したのですが。
それが盗まれてしまいまして。


で、話は始まるわけです。
あとはもう、偶然偶然。


えっと私、クレアさんとかヒューイさんとか笑顔の馬鹿男とか好きです。
(まだ出てきてません。)
馬鹿っぷるも好きですが、この話ではまだまだですぜー。