『スポーン』

しかしグロいよね。

『スポーン』
監督:マーク・デッペ
出演:マイケル・J・ホワイト/ジョン・レグイザモ
  /マーティン・シーン


私、マーティン・シーンが大っ好きなので。
(私がファンと言えるのは、東西で多分一人ずつだけです)(まあ、言われてもいいけど違和感あるんだよなぁ)
文化大革命日中戦争で死ぬほど調べ倒したけど、ファンと言われたら違和感で首捩じ曲がってしまいますー。人間も同じスタンス。)


それだけの理由で見ました。
蛆湧きピザに、吐きそうになりながらそもそも『ボウケンジャー』のレビューを書いていたりしたんですが(大概にせい)、意外と面白かったです。
なんていうのかなー、主人公がダークヒーローというわりには、誰も彼のことを憎んでいないんですよね。
彼の世界は美しいまんま。


そりゃあ、奥さんは異相の彼を見て怯えるし。
元親友は奥さんと再婚してたりするけどさ。




そもそも「彼」が殺されてから四年の月日が流れていて、スポーンさんはその間、時間を感じていなかった。己の痕跡が全くなくなった世界を見て、絶望しろ、という魔王の画策なんですがねー。
でも彼の娘は彼のことを怖がらないし。
ゴクリオストロは見守っているし。
父親に殴られていた子どもは、彼のことを慕ってちょろちょろと付いてきてしまったりするわけなんですよ。


なにがダークヒーローじゃあ!!


おまけに、彼の妻だって、彼の親友だって、もとのまんまの標準から見ても優しく気高い人間だったりするんですよ。
ちょっくらスポーンさんの顔が焼かれてて気付かないけどな!
なかなか怖かったんですが慣れました。


というところで、なにがダークヒーローかっつーと(なんでそんなに拘る)、多分見た目だと思います。醜いっちゃあ醜かったもんなぁ、慣れたけど。
あとはまあ、四年の歳月を一瞬で経過して、しかもそもそも殺されてしまっていたりしたもので、怒り狂ってるんですけど、無理ないじゃんなーっ?!
挙げ句、そのうちちゃんと和解しましたしな。
四年の歳月をちゃんと乗り越えられたのは多分、余所からの茶々がいっぱい入ったからだと信じていますが。


理不尽だという思いを募らせるなら放置が一番。
異形が人間を狙ってる、という展開の前に、真っ当で強くて奥さん立派だった男が己の感情を後回しにしても全く無理はありません。ばーかばーか。
まあ、放っておいたらおいたで、持ち前の正義感で子ども拾って、ゴクリオストロに宥められて、親友とかに手を出すのは邪魔されてー、でそっちもそっちで手詰まりだったろーけどなー。




つーか、戦闘力で選ぶからいけないんじゃないかなー。
この人闇に堕ちないよ。
なんとかかんとかして戻ってきたっていう、カタストロフねぇっすよ。中年男が取り乱して、現実を受け入れるまでというかなり妥当な人間ドラマだよこれ。


という感じでしたが、ドラマは良かったです。
えー、なんか違わないー、と言われたらもっともなんですが、スポーンさんはこれからもちょっと元の生活を引き摺りながら、親友さんも彼のことをけして忘れずそれなりに幸せに生きていくんじゃないでしょうか。


そんな映画でいいのかこれは?!
とか言われたらもっともなんですよ。正義はどこだ。




とりあえず、マーティン・シーンがただの髭面の薄汚ぇおっさんでしかなかったのがとても不満なんですよ、役として正しいけどさー!
普段のただ漏れの知性はどうした、無闇やたらと愛情に満ち溢れてて、わりと盲目っぽい純粋さはどうした!!


マーティンさんがあの魅力溢れる、騙されたら戻って来れないかもしんないー、というような大統領(>ザ・ホワイトハウスで!)テイストで悪役をやっているのを考えたら、ちょっぴり昇天しそうでした。
あー、殺されてもいいー。
慈愛に満ち溢れた目で、頭良すぎて世界の貧困と不均衡を嘆く心そのままで、是非とも今の数段酷い破壊行為をやらかしていて欲しかったです。
素敵だったろうなぁ、、、♥


まあ明らかに、敵が薄くてな。どうでもいいっつーか。
ピエロのクラウンには期待したんだけどなぁ、ただの捻くれ親父が己の地位が低くて喚き散らしてるっていうスタンスにがっかりしましたよ。これがただの下ネタ大王だったらどんなに良かったか。
んで、スポーンさんが殺すのに迷ったりしてなー。いいなー。
(おまいは一体なにが好きなのさ。;)