「東の海神 西の滄海」

≪密林.com≫

この本に出てくる、、、まあいわゆる黒幕の斡由(あつゆ)というキャラクタのことを、ずーっと考えているという投稿を見たことがあります。
(『活字倶楽部』という女性向けの本の雑誌。)
その内容はほとんど覚えていない、というかかなり短かったのですがね。
なんとなくその、彼女(女性だったと思う)の辿った思考の道筋のようなものはわかるような気がしますよ。


多分だけれど、その人は斡由と似ているのでしょう。
そしてもしかしたら、彼女にとっての青春小説は、この本の斡由という登場人物そのものだったのかもしれないな。
私にとっての、陽子みたいにね。




いや、ちょっと待て、なんだか私だけズルいなそれは。。。
えーと、「月の影 影の海」上の陽子限定で!
(ほーら黒くなったぞ、てなにをやってるんだ私はorz)


これは、昨日書いた分の、書き直しになります。




シリーズ2冊めで陽子が出会った時には、すでに押しも押されぬ大国になっていた十二国の≪雁≫という国の、王とその補佐役である麒麟の話。
結末がわかっているからかな?
それとも、内容のわりにどうにも短すぎるせいだろうか。
気のせいと言われればそうなのかもしれないが、シリーズの他の本より少し人気が落ちるのではないかという感触がある(なんとなくだよ?)。


中核は、麒麟・六太が昔に会った妖魔を連れた子どもに浚われ。
その身を人質にして、国と≪雁≫の王に要求が出されたこと。




最初に出てきた斡由というのは、六太を浚わせその要求を出した人物だ。
「どのような」人柄であるのかは、この本のわりと数少ないネタバレであると思うので触れないが、彼がそもそも優れた領主で、自分の与えられた地を円滑に治めたのだという話はあまり疑わない。
そういうことはありうると思うよ。


だが、どうあろうと、少なくとも友人になりたくないかなァ。
んでもって、思春期か、その脱出口ぎりぎりに斡由に出会って(変な言い方なんだけどね)、彼のことをゆっくり、もしかしたら今も考えているのかもしれない“彼女”とはなんだか会ってみたい。
私は彼女を好きになるんじゃなかろうか。




その、そうだな、「傲慢な正義」である斡由と、六太の王(ってどういう呼び方だよ!)との一騎打ちなんぞではなかった。この本は。
そうなるような構成になっていたのにそうならんかった。
傲慢であったとしても、斡由には、少なくとも王の価値を問いただすだけの権利はあったのではないかと思うけれど、「王」という地位そのものに阻まれてしまったように思う。


それは、この十二国という世界自体が、正統な王を擁しているというだけで、天候を安定させるなんていう、奇妙な造りになっているからかもしれない。
害ある王でない限り、いるだけでよほどマシだということかな。




延王が優れた王であるかは、もう結論が出ている。
陽子が出会った時に、500年の平穏で豊かな歳月を国にもたらした王であるからだ、なんでこの巻、3冊めでこんなふうに巻き戻ったのかはよくわからない。
そしてどうして、きちんと決着をつけずに曖昧にしたのかわからない。
そもそも延王ってのは、どことなく毒を含んでいるように描かれている。


六太もどっかしら似ていて、それでいて全く違うように見える。


がんじがらめの箱庭に生きて。
破れないはずのルールを破ってでも、目的を果たすというより、いざという時のために「どこまでルールが破れるか試す」なんてのは危険思想どころではない。
それが王と、そのナンバーツーだというのだから危なっかしい。




けれどなんでだかよくわからないが、六太は好きなのだよね。苦労性だからかな?
延王は好きくないー、嫌いでもないがー、甘ったれだからかもしらん。


ショタコンでないので更夜はどうでもいいのですよ。
うーん、いや、この件ののち、斡由のことをどう思ったかはなんとなく聞いてみたいかな。
「大きいの」と一緒に元気でな。
(ちなみに「大きいの」はわりと好きです。)


つーか。
小さくて(も小さくなくても)無力な存在が、肩を寄せ合うように生きていくのも、一つのわりと立派な国も、あんまり変わらない価値なんじゃないかとふと思ったり。


六太が泣くから、王サマもそこそこ元気でな。なるべく長くな。頼むよ?