『自殺サークル』

で刑事の存在価値は。

『自殺サークル』
監督:園子温
出演:石橋凌永瀬正敏


うっかり冒頭、女の子たちが手をつないで。
明るい音楽が流れるところで涙しそーになってしまったんですが、そのココロは己でもよくわかりません。


なんていうのかなぁ、、、隙間?
この世界のどっかに隙間があるんじゃないかって思って、それを求める気持ちに似たよーな、なんていったらいいのやらホント、わからなくはないんですが、でも上手く説明できないんですよ。
多分、私にとって、格にも近い感情だと思うのですね。
コメンテタリーじゃなくて、なんだっけ?
冒頭シーンのコマ割り(実際の映像)と説明があるんですけどもね、特典で、これが途中を飛ばすと中身が見れないという。
ものごっつ押し付けがましい作りになってんですが。いやー、いくらなんでもスピードが速いと駄目ってのはキツいんだけどー。途中で落としてやり直した分くらいは手加減しろっつの...lllorz


これがまるまる冒頭の「自殺シーン」のコマ割り。
そのための映画なよーな気がするんだよねー。
いや、当人さんが言ってるから、そうなんだろうけども。


54人が、ホームで手をつないで、明るく手ぇ振って、「いっせぇのっ!」でぽーんと飛び込んで、電車が止まれなくてブレーキも効かなくて、どんどんどんどん潰れていくわけですが彼女たち(見せてはないよー;)。
血はだくだく溢れるわ。
電車の先頭から一体飛び込んでくるわ。


ホームまで血塗れになるわで大変なんですよ、なにせ54人分で。
ぶしゅしゅしゅしゅしゅー、てな感じで。
私はニアミスで人身事故って見たことないんですが、頭が近くのレコード店にまで飛んで「とん」とぶつかったという話を聞いたのですが(二度目)。あれそもそも、現場に消防車が来るんですよね。
(消防車に最初に気付いた時に、なんかものすごい衝撃がありました。)
女の人がへた、とへたりこんでいて、彼女のことを慰めてあげれなかったのか、でも無駄だったんだろうかとか今でも思い出します。もう数年にもなりますが、彼女がへたれこんだのはなんとなく一生忘れない気がする。




思想があるのかっていえばないですよね。
それは多分、自殺者にしかない、その自殺を受けて傷を受けた人にもあるかもしんないけど、でもそれって「自殺」の思想じゃないでしょう?


一人の死は感傷にしかならない、54人が必要だった。


でも、54人が死んだら普通ならそれはもう「自殺」じゃなくなっちゃうんじゃないのかと思うんですよね。
女子高生じゃなくて、男子高生だとどんなに明るくても気持ち悪いっすよ、むしろ暗いほうがまだしもかも、それに、その背景になにかあるって疑わないことってないんじゃないかしら。


私、大阪の天守閣から落ちた200人って、ちょいと蛇足だったよーな気もします。なんかさぁ、ねぇ?
集団で飛び落ちた子たちだけ血が見えて、二人の時も一人の時もそれが見えなかったなんてのはそれなりの価値があったような気もしますが。次から次へと死んでいく人らも、なにか考えているのかいないのかわかんないほうがいいでしょう?
刑事さんの家族の話もなーんかなぁ、あれをホラーじゃないというふうに見るのは難しい。ターゲットを定めてしまったら詰まらなくないでしょうか、それって「自殺」なの?
それこそ、あのシーンで、「事故じゃない、事件だ!」と認定されたことが妥当にしか見えないわけじゃないですか。そりゃあ、エンターテイメントならばそんな不気味さは必要だったのかもしれませんけど。
それってー、なんか詰まんなくない?




で、なんか大概、人でなしなんですけれども。
そーいう話だと思うわけなんですよ。
私もコレは映画に閉じ込めておきたい、そのためには、すごく真剣でなくてはならないと思うんですよ。園子音さんにはその、うーん、権利? じゃなくて意図でもなく、その要素はあるんじゃないかと思えるんですよ。
純粋に、自殺を見るための映画でいいと思います。


まあ、道化とかはいいけどね(アイドルもー)。
若いほーの刑事さんが、腕を掴んだから、アレは止んだの? それとも本当に「解散」が契機なのかなぁ、とくらいは思うんですけどね。


それ、重要かな、ともやっぱりどっかで考える。
なんで死ぬの? じゃなくて、なんで死なないの?
なんのために生きてるの? でもいいのか、同じ意味ですが。
たまに、それを振りきってこの世の隙間から、ほとんどなんの理由もなく外に飛び出てしまう人がいてもいいような気はします。気はするけど。
私はソレを画面の中に閉じ込めたいクチです。


この映画を見て、たとえば雰囲気に酔って自殺を賛美することはないでしょうよぅ。物には限度が。
気持ち悪くて、踏みとどまってしまうよ。だって気持ち悪いんだもん。