1)「ナッシング・ハート」

「ナッシング・ハート」≪パーム.1≫
 伸たまきウィングス文庫(1997.07)


――いつか無害な男に出会ったら、
ささやかな人類への貢献を願い身の程を知った、
そして自分のふがいなさに苦しんでいる男に出会ったら迷わず彼の力になってあげなさい――(p.54)


私がこのシリーズを読み始めたのは、、、なんだったかよく覚えてないな。なんだかカーターみたいな顔とか髪型とかは好きですけども。それだけでもないよなぁ。
いや、出会った時点で冊数多いしさ。
当時は高校生だったし(それ以前からもそれからもずっと、延々と連載している)(雑誌の傾向なんかも変化してるよーな気もするんだけど、まあ関係なさそーだな)。
(高校生だと金銭的に大変なんだよな、さすがに。;)


ジェームス・ブライアン、と名乗る男の話です。


てゆかコレ、漫画なんですけれども、普通の少女マンガしか見たことないとびっくりしてしまうよーな気もするんですが、むしろ彼女が少女マンガの幅を広げたよーな気もしないでもない? というような。
有名ってんじゃいですけど、ヲタやってると、長い間にはどっかで出会うんじゃないかと思います。誇張でもなくて、それが相応しい人ですよ。
読むのに覚悟がいるけどな、とにかく長いし、そんな娯楽ー、みたいな傾向でもないんだよ途中の一巻だけなんて言語道断的な。
いや、純粋に時間軸が無茶苦茶のばらばらなんですよ、非難でなく、単に物理的にそーなってんだから仕方ない。




その、まあ、、、相方というのかなぁ? カーター・オーガスさんは長髪の美形さんですよ、日系で本来ならクォーター、日本人の血が1/4なのですけども、隔世遺伝だったせーか髪も真っ黒。
でも日本人の顔立ちはしてないよねぇ?
絵柄のせーなのかなぁ、そんな気もしないんだけど。


ぶっちゃけ、私この人が目当てだったかもしれませんが。
女ヲタは目的がどこであっても、わりと混沌に沈んでしまうことが多いよーですよ、男ヲタはキャラクタで入ったらキャラクタ単体になるっぽいけど。まあ、多少は前身である文学少女の名残りがあるんじゃないでしょうか。
周囲にもそーいうの結構いたし。
(単に類は友を呼ぶ、というだけかもしんないけど。)


ジェームスさんは、そーだなぁ。




いわゆる、志向性のない天才で。
志向性がないというところも含めて生来のものであるよーです、興味が一つ処に定まらないんだよね。これは私にその傾向があるからわかりますが、移り気って自分でコントロール出来ないんですよねー。身体的特徴なんじゃないのかなぁ、なんとなく。
まあ、教育や環境で決まった、という可能性もむろんありますが。


そして生まれがギャングの超大物の甥とか。


で、生まれた時から波乱万丈。
幼児期に誘拐されて、その犯人を殺してー、つーかそもそもその時点ですでに「戦略研究所」に在籍してるっつーとんでもなさ(軍需開発です)。


したら、義理のとーちゃんでもある叔父に。
身替りの死体を用意されて犯人ごと社会的に抹殺しておいてから、実際に殺しに掛かってこられるという超展開。なんでそんなことになるんだよ、と犯人の生き残りは喚いてるわけですが。
肝心の少年は(この時点ではジェームスくんではない、後で改名してるのでマイケル少年)、「そんなこともあるだろうな」みてーな顔してるしね。すげぇね。




あとこの巻には、ライオンと寄り添う少年の話と。
その彼らが共に暮らすよーになってから、身体的に「なにか」を共有してるせーで離れられなくなったみたいな時期の話が載ってます(あとはフツーの事件話)(ジェームスさんの相棒のカーターさんが探偵をしてるので)。


チープっつーか、なんていうんだろうなぁ。


ものすごく安っぽい展開じゃないかと思うんですよ。
詰め込めばいいってもんじゃないんだぞ、と、もう少し物語りの作り方というものを教えなくてはならない、としたり顔で延々と語られそうな。


あと、出てくるの美形ばっかだっていうしさー。
セクシャル・マイノリティとか犯罪者とかもわんさか。
死人もわんさか。とにかくジェームスくんの廻りでは信じられないよーな確率で人が死にます、特異な環境だけど、そんなことで、というようなことも少なくない。


でも「生きていくのは困難だね」とゆー、普通の話なんですよね、これ。
天才だからじゃなくて。そんなことはむしろどうでも良くて。
生と死と、思春期でも馬鹿にされるよーな、くだらん事象と、差別と偏見と、事件と、思慕と諍いと、全部同列に並んでます。


てゆか、ジェームス、カーターの顔すげぇ好きだよね。
なんの話って言ったらいいのかな、ただ、全部、なにもかも、どんな要素に至るまで全て同じ高さに並んでいるんですよね。それだけは言えるんですけれども。