『大停電の夜に "ナイト・オン・クリスマス"』

しかしまあ、派手さはない。

『大停電の夜に "ナイト・オン・クリスマス"』
監督:日向朝子
出演:豊川悦司田口トモロヲ
  /原田知世/吉川晃司


悪くない映画でしたが、映画館で見るとなるとちょっとかなー。w


んでも、テレビの特別番組ででもこれが流れていたら、それなりの好評を得ることになったんじゃないでしょうか。そうやって見るのには向いているんじゃないのかな。
テレビと映画の違いってのを前から少し考えているんですが。
まだなにがどーとは言えないんだけどやっぱりなんかあると思えるんだよね。


サンタクロースの実況中継にてプロローグ。


ぶっちゃけ、「なんじゃそれ?」と思わないでもなかったんですが、アメリカの軍が子ども向けに提供しているクリスマスのジョークらしいですよ(なんとなくあとでされてた説明を聞かなくても趣向は口調で見当ついた)。
したらなんかレーダーの中を横切る影。
「またあいつか!」の声とともに本篇スタート。


(これもあとでなんであるのかの一応の推測なのだろう話はされていたんですが、それが正しいかどうかは結局明かされない。)
(別になんでもいいけどねーw。)




要するにまあ、東京一帯が突如の大停電。inクリスマスの夜
という話なわけです。


数年前にサンフランシスコだかで起こったのとか、こないだ東京で送電線が切れた事件とか思い出しますが(何故か範囲内だったのに停電しなかった、謎;)。


ぶっちゃけ面白いよね。


むしろそれってーのは逆に、我々の生活がいかに電気に依存しているのかということなのかもしれませんが、むろんのこと映画のテーマはそんなところにはなく。
たまたまそんな夜に人生でも有数の転機を迎えていた人らの話。
うん、特に事情がなきゃ家にじっとしてりゃいいんだろうけどな。


もうすぐ手術が待ってるとか。
父親が亡くなるかもしれない時に生みの母のことを知らされたりとか。
その連絡を受けた母親とか。
その母親さんの現在の夫とかー。
不倫の清算を告げられたとか。
刑務所から出てきたところで昔の女に会っちゃったら(追いかけた)、彼女が妊娠してて、その上でちょっとショック状態になっちゃったとかな!


ラストはすっごく緊急事態だな!!
(いや、他のがランク落ちるとかじゃないけどな。)


とゆか、今指を折って全部のエピソードを数えてみようと思ったんですが、エピソードっつぅか各人の抱えた事情? しかし重なってるのも同じ人間が兼ねてるのもあるしなぁ、見てくと徐々にわかる部分もありますが。
推測を働かせないと誰のことかわかんないのもあるしな。




シンプルでわかりやすかった、とは言い難い。
あと、笑わせるんじゃないのかな、これは? というような道具立てでも皆すごく真剣なんだよね。爆笑したってことは一度もないんじゃないのかな。
(そうすることが本来不可能だったとも思わないんだけど。)
そーいう意味では、なんとなく消化不良っぽいところはあるのかな。


いや、結構状況が滑稽なんですよ、皆。
情けないっつーか、どいつもこいつもなんか弱いというか優柔不断というか、そーだなぁ、宇津井健さんの演ってた男性くらいかなぁ、自業自得でも過去の清算でもなかったのって(あと豊川悦司さんのバー店主は再起のチャンスか、あと手術待ちの女の子)(いや、結構いないでもないか)。


でも真っ暗な緊急事態の中で、だぁれも他人のことを笑わない、電車の中で産気付いちゃった昔の恋人(別の男の子どもを妊娠中)を運ぼうとする見るからにヤクザな外見の男にも、皆満面の笑みで善意の品々を差し出していますしな。




どのエピソードにも決着は付かない。少なくともそうは描かれない。
ま、たった一晩のことですしね。
せいぜいが産まれた子どもくらいでしょーか。


唐突に、けれどさしたる混乱もなく闇が訪れて去っていくだけ。
「こんなものがサンタの贈り物かよ?!」とか言ってた人がいたんですけどねー、まあ、プレゼントだし、こんなもんじゃないのかな。w
ちょっとの間だけ、しがらみから開放されたっつー結局それだけ。
なんかを見つけるのだとしても自分でやらなきゃなんない。
そんな程度でいいんじゃないのかな、クリスマスだしね。