「ボーン・コレクター(上」J・ディーヴァー

ボーン・コレクター 上 (文春文庫)

ボーン・コレクター 上 (文春文庫)

密林.com


まあ多分ですけども。
そもそも、ここを読んでいるよーな人の大部分は「リンカーン・ライム」のようなものを多かれ少なかれ抱えてるんじゃないかという気がします。それを私はウルトラマンと呼んだり五代クンと表現したり(するな)、怪獣と呼んだりしているわけですが。


差異を認めて欲しいんだか欲しくないんだかはっきんせんかい!


という、複雑というか繊細というかそんな気持ちですよ。
リンカーン・ライムの差異は、誰が見てもわかるというか、一目瞭然のものです、でっけぇ生命維持のための(というか身体維持)器具をくっつけて、ベッドの上から一歩も動けない。“第四頚椎の損傷”という状態なんだそうですが。
(それより上だと死亡、それより下だと部分麻痺。)
要するに全身麻痺状態。




んで、この人は、とある事件で頚椎損傷するまであれだったそうです、えーと、科学捜査官? 日本と組織や官職名が違うのか同じなのかわかんないなー。科捜研っていうよね(それはドラマのタイトルなよーな)。


まあとにかく、犯罪が起きましたー。
そこに犯人がなんか残しましたよ、それを鑑定しましょうよー!
というのが基本みたいです。


てゆか見てるとどうも分類とデータベース化がとにかく鍵みたいですよね、わかりやすい例だとどこの土地の土ですよんとか、どこの水ですよとか。これはわりと日本のサスペンスでも使ってますね。その土地で死んだのか、その川で死んだのか/違うのかっていう状況の限定くらいでしか使ってないわけですが。
(この内容だとそうもなろうな。)
しかし、とある紙があったらその紙がどこから来たものか。
なにかの繊維があったらその繊維の元となった物品はなんなのか、全部を落としてくよーな間抜けな犯人はあまりいないわけですがやっぱり。でも接触のあったところに目に見えない程度の微細なかけらが残るのはわりと多々ありうるわけです(残らない物もあるんだけどね、そーいうのを検査で使ったりするわけですヨ)。


えーと、だからなんだっけ?
ああそう、別に必ずしも体を動かすことが重要なんではなくて(しかし必要でもあるのですが)、むしろ経験、どのようなところに微細証拠が残りやすいか、あとはそれをどのように事態の特定に耐えられるだけのデータに結び付けられるか。
要するにちょっと感性、センスの世界のようなところがあるんですよね。
ぶっつけ総当りでもなんとかなるのかもしんないけど、証拠ってそもそも検証に使ってるだけでも壊れるし飛ぶし、そもそも見えないし(微細だからー)。


警官が歩き回るだけで「汚染」とか堂々と呼ぶわけですよこの人。
被害者がネズミに襲われてるのを撃ったことを叱るのはどうかと思いますがわりと人として(いくらなんでも無理ないじゃん)(ネズミじゃ血管まで歯が届かないし数分の違いくらいでは死なないよ、じゃなくてだな!)。まあ銃の発砲なんかは大変な汚染なわけですよ。
あとそーいや、手錠を切ろうとして怪我した警官のことも嫌味ってたな。
もっと怒ったれアメリア!




と、いうような話です。
わりと優秀であるから人でなしというか、人でなしでなきゃ優秀にはなりきれないというか、ベッドに縛り付けられるよーになって人が変わったんじゃないのかと誰かが疑ってみるものの、昔っからこんなだったよーんとのことですよ。
まあその辺の変化はないだろうねぇ。


とはいえ、アメリア(経験値皆無)を自分の指示の通りにほとんどロボット状態にして動かしていたのは倒れたから故なのでしょうが。必要なのはわかんないでもないんだけど、アメリアにしてみりゃ溜まったもんでもないよなぁ。
誰か専門の人を一人連れてって証拠を集めてもらってそれを待つ、なんていうことはどうもライムの性格上というか、必要もあって出来ないみたいでね。


ただ、「なんの経験もないから自由に操れると思ったのね!」という意見に関してはちょっと疑問がないでもないです。なんというのかなぁ、だったらもっと大人しい性格の人のほうがいいんじゃないのかしら。
経験値はないけどセンスがあるわけだし。
(最初に現場に立ち会って、必要なことを確保しようとした。)


というわけで、なんで隠居してたライムが引っ張り出されたのか。
そもそもどんな事件なのか、その事件でライムの果たすべき役割は、なんていうもっとも基本的なことを全く触れないまま下巻へ。


あ、起こったのは連続誘拐殺人事件です。
アメリアはありえないほどガッツの超美形で、介護師のトムが(美形)結構いいキャラしてると思います、というわりと重要度の低いところだけでもお伝えしておきましょう。
ところでトムのことお母さん扱いするのは止めとこうよー、ライム。
(口煩いお袋さんイメージですけども。)