『処刑人』後半

分割したわりにはテンション低めに前半から続く。


計算尽くで作られた話とはあんまり思ってません。
もしかしたらそーなのかもしれないのなら、ものすごい才人ですよ。
てゆかさー、共通の俳優さんがいるからでもないけど『スパイダーマン』なんかと比べると、もんのすごい贅肉がつきまくってるんですよ。いらねぇ部分がいっぱいある。
脚本とか、展開が面白いって言われたら鼻で笑うね。


そもそも面白いんだかどーだかすら判然としない。


でもねぇ、スタイリッシュにただ静々とただ効率だけを重視してひたすら「悪人」が殺される話だったら、私は途中でそれこそ鼻について止めてたと思うんだよね。
己の嘆きに酔っ払ったおっちゃんの作った話にしか見えなかった。




この話はね、行きつけのバーで、ロシアンマフィアに絡まれて喧嘩を売り返したら、自宅に彼らが殺しに来て。
それをぎりぎりで(兄弟愛の力!)(わはは)返り打ったら。
銃を手に入れちゃって。


それ以来、悪人を殺して廻る兄弟の話です。
顔がどーとかとか私わかりませんが(ごめん)、可愛いですヤツら。
イデオロギーないのよ、てかあったら気色悪かったと思います、つーか。
大概私も、「嫌い」「嫌い」と連発しすぎですが、人間の行動の原理がイデオロギーなんつーものであって溜まるかと思ってるだけです、感情だろう? 絶対、なんかしら「そー思った」「感じた」が原点でないはずがないと信じてるだけなんですよ。


映画の襲撃ごっこでロシアンマフィアをまず撃破。
そこにのこのこと来た、9人の会合に六連発銃を持たされたもともと友人の下っ端運び屋のにーちゃんを脅かして遊んで(死体の前でなにしてんのや;)、拾って持ち帰って(にーちゃん家に)。
運び屋にーちゃんは殺されかけたんだよ! と主張して。
一悶着あって、結局彼は「処刑」に参加することになりましたー。
長年下っ端やってるだけあって、情報に掛けてはばっちりです。




あ、猫ちゃんに関しては酷いと思いました。
そこで十字のマークが浮き出てるのがなんだろうかと思いました。


そんなこんなをしてましたらば、下っ端運び屋にーちゃんとこのボスが、なんかすげー強い外部の殺し屋を雇って、それに返り討ちにされそーにもなりました。
そのボスのところでとりあえず最終決戦。
(ボスのコントロールは超とっくに外れてますが)(なんでやねん。)
(いやあんまりにも強すぎるんだってさー)


そんな処刑人兄弟と並走して、踊るFBI捜査官が出てきます。
ものすごい有能すぎて女装までばっちりこなしますが、多分あまりにも有能すぎて頭が切れすぎるせいなんでしょうか、登場人物中、一番壊れてました。有能でしたが。


この方、映画仕込みの手法を駆使する処刑人兄弟に手を焼きますが。
やっとこ情報を手に入れたところでハタ、と迷ってしまいました。




私は、この話が悲劇で終わるもんだとばかり思ってました。
どのよーに締められるのか、やっぱりちょっと情の移った兄弟を見ながら、はらはらどきどき待ってました、なんかさすがに、変に情絡みの内容になるんだろう。
それでも許せるだろうかと思いながら。


私が馬鹿だったです。はい。
いやー、こうくるか、こうくるか、こう来てしまわれるんですかっ?!


筋だけを見れば頭の悪い、明るい勧善懲悪モノでしょう。
つーかその側面は否定しない。
けれど、その「頭の悪さ」をそもそも画面の向こうの、登場人物たちが重々自覚してたらそれはどうなんでしょう?
いや、そー考えてるというコトバはありませんが、そう見えるんです。


悪を殺しでもって否定するのが正しいのか否か。
その愚かしさを薄っすら自覚しながら、けれどでも、他に一体どんな手があるというのだろうと見ている側が考えたら、それは映画の頭の悪さになるんでしょうか。


願わくば、願わくば。
それが最初から計算されたものではなくて。
頭の悪いコメディを作ろうとしたら、何故かそーなってしまったという、いわば事故のよーな兼ね合いで生まれて欲しいと思ってしまうのですよ。


映画が終わってからそこから目を離し。
思わず考え込んでしまう、それはこんな映画でいいのか、こんな結末でいいのかなんてぇそんないちゃもんであってもいい。
それでも、悪人に至るまで、「血が流れている」と思い続けることが出来る映画なのではないかと私は評価します。
それが出来の良し悪しにつながるかどーかすらわかりませんが。