「彩雲国物語」黄金の約束

彩雲国物語―黄金の約束 (角川ビーンズ文庫)

彩雲国物語―黄金の約束 (角川ビーンズ文庫)

≪密林.com≫
なにわともあれ男装なのですよ、でも小細工なんて一切ナシで大丈夫! ていう請け負いは余計なことじゃないかと思うんだよなぁ。。。
そりゃ、主人公・秀麗は平べったいみたいだけどさ。ものには言い方ってぇもんがあるだろう。


で。
秀麗は男の子としてしばらく朝廷で働くのだそうですよ。なんか皆、夏バテでぱたぱたやられてしまっているらしくてねー。
人手不足つったって、いくらなんでも男装させてまで少女に頼むのは無理があるだろうという至極もっともな指摘には、少女小説だしー、と答えるとしてだ。
もともと秀麗は、女には不可能だと知るまで役人になりたいって夢を持っていて、駄目だってわかっていても今も勉強を続けているものでね。
彼女にそういう世界を覗かせてあげようとかなんとか、そんな公私混同な思いもあるようなないような。
まあ。若いにーちゃんの思惑なんてどうでもいいからどうでもいいんだけどね。
若い秀麗は、男装したところで少年でしかないし、雑用とかお手伝いが主だしね。その辺は賃仕事で慣れているとのことで実際役にも立つでしょう。




ところでその職場になんか妙なヒトがいました、仮面被ってます。


私なら街中で見掛けたら指差して笑うかもしれませんし(止めましょう)、小説なら“ベタ”と呼んであげなければ失礼かもしれないくらいなのですが。
しかし、言動の優しい癒し系中年が側にいて、なにくれとなくフォローしてくれるという構図が羨ましいのでこの際不問、別けて下さい。マジで。


という本音も置いておいて。えーと。なんだっけ。。。
ああ、そうだ。荒れた地方からの密使サンが都に来ていて、それを阻もうとする盗賊なんてのもざくざく湧いたけれど、秀麗が関っていたんだかどうだかも思い出せん。
これもどうでもいいや。
あ、状況を勘違いして巻き込まれた二人の子どもが、宮廷見学してる時に周囲が微笑ましく見守っていたシーンとかは好き。w


あと、同じく関係者のひげのおっちゃん(実年齢は若い)も、まあ正直悪くないなとは思いました。
状況が無茶っていうか、リアリティがないっつーか、極端というかハードル高すぎというかまあ、いかにも「巨悪!」て感じで大味で薄っぺらいんですが、それに対抗するほうのやり方としてはぎりぎりかなぁ、てレベルなんじゃないかなと。
思い切った手段に打って出た、ていう感じかなぁ。
えーと別に。これ批判とかじゃないです。
リアリティのある悪を、少女小説に求めるホドには頭悪くないです(棘)。
そーいう基準で読んでも、まあ、いいかなー、と思える部分があったってことですね。


ちなみにその人物、行き倒れていたところを秀麗に拾われて、そのままバイト先にも引っ付いてきてます。
がさつで熊かってくらいの髭面だけど、要領と気のいい好人物。
秀麗も懐いてますねぇ。まあ、周囲が見た目が完璧で、なんかどっかのねじが1、2本は抜けていそうなのばっかりだもんな。。。
「逆ハレム」ってなんか大変そうだよねぇ。


ところで王サマよ、秀麗を好きなところは実に可愛らしくて構わないのだが、その暴走と少女のフォローに関しても微妙にいい話を構成していると見てもいいのだが。
なんか存在が退化してないかな、いや人間として。
僕の気のせい?