「彩雲国物語」はじまりの風は紅く

≪密林.com≫


十二国記」以来、雨後のタケノコのごとく、ぽこぽこ生まれたのだろう中華風ファンタジーのほとんどを黙殺してきた私は。
意外と正統派の中国史好きだったりします。
十二国」も別にそういう意味では眺めないな。。。
アレは、箱庭的な仕組みが面白いんだよね。


コレ、の面白さを言えと言われたら、ちょっと難しいかもしれない。w
平凡なルックスで、家系が良いのに貧乏で元気な女の子が、美形で有能な男たちに囲まれつつ、その半分くらいが冗談半分とか本気なんだかわからないのも含めて彼女狙いという「逆ハレム」小説。
いまいち古臭い、スポコン的な展開。
人物のキャラクタ付けは、どーも類型的っていうか、若い男どもの見分けがつかねーよ!
(類型的であるが故に、その部分だけは極端に違うのだが、それ以外の役割の違いみたいなものがわからない。;)


もう、なんていうのか、そこを非難するのも見当外れだろとしか言えませんな。
子どもっぽいのよね、あたしこんなのに騙されたりしないのよっていう言い回しとかやたらしてるくせにきっちりばっきり読んでるとか、どう考えてもあまりにも違うだろう。;


つーか、わりと素直に読んでらっさる集団に混ぜてもらってました。
しかし逆ハレム小説には特に期待とかしてなかったけど、、、逆ハレム好きの人たちに若干夢を見てしまっていたらしく。
「美形男らの中で誰がい〜い?」て話になった時に。
仮面を被った変人が、一番マシかもね、中身は真っ当よね、という展開になってショックを受けてしまったりしましたよorz
ああ、いやあの、その、別にそういうキャラクタたちに憧れたりとかしないんだ。。。
ううん、私だって無理だからそんなこと求めないけどさ。
(なにか前提とかそういうものが違いますか。;)




主人公・秀麗はお父さんが一応働いてるにも関らず、なんか貧乏、家が大きいせいもあるし、給料をがりがり削られても気付かないお父さんということもあるみたいですね。
お母さん死んだ時に財産持ち逃げされてー。
んで唯一、兄妹みたい育った捨て子だったらしい家人(超美形。)と、娘いなかったら死ぬんちゃうかというぼややんなお父さんを支えつつ生きています。
あ、そうか、その家人の静蘭も軍に所属して、お給料家に入れてるんだ。
健気な。。。


で。
バイトでちょっくら後宮に行くことになりましたとさ。
後宮ってのは、まあ普通にハーレム、王さまの奥さんたちがぎゅっと詰め込まれてる建物だけど今は空っぽ。
なんか王さま、男色家らしくて。
いや別にそれくらいはどーでもいいんだけれども、子どもが出来ない。
いやいや、そーじゃなくて政治もしない。困った。
よし叩きなおしておくれと政府最高位なじじいズに送り出されー。


あれ、14歳くらいじゃなかったか? 秀麗。。。


うんまあいやいいんだ、ほんの半年前まで続いた王位争いの時に、近所の人間に自分の家の飾りだったはずの草木を食べさせ、池の魚も当然。
くるくるくるくる、働いて働いて働いても、それでもなんにも出来ることがない無力だから、どうかアナタはしっかりしてちょうだいと、ちゃんと対等の位置で口を聞くことが出来る彼女が、私は結構好きですよ。


その裏でね、王を巡ってどんなことが起こっていても、まあわりとそんなことはどうでもいいんだよな。
狭間で苦しむ女性くらいはいいんだけれどさ。


そんな謀略を楽しむためになら、私は、この本を手に取りませんからね。
正直、高慢かもしれませんがそれが本音。そもそも小説にそういうことを期待するってことにあまり縁がないので、特に馬鹿にしているわけでもないのですが。


けれどね、自分たちを飢えさせない選択をすることが出来る、地位にある王にね。
彼の知らないことを、知らない現実を、自分の思いを声を届けようとする少女というのは、とても等身大の“政治”なのではないかと思ってしまったのですよ。


お互いに隠し事をしながら、ちゃんとした絆を築いた王である少年(つーてもちょっとそう呼ぶには歳いってるけど、中身が。。。)と少女ってのは、こんだけこんだけごてごてと飾り付けられた中にもあるんですね。知らなかった。
見る人によって、読むところが違うんでしょうきっと。
私の読み方はもしかして見当違いなのかもしれませんが、これもありだろうと信じています。w