「今度はマのつく最終兵器!」

今度はマのつく最終兵器! (角川ビーンズ文庫)

今度はマのつく最終兵器! (角川ビーンズ文庫)

≪密林.com≫


リアル世界に、核の平和、て概念あるじゃないですか。
格が違うって怒られるだろうけれど、ファンタジーの中でそういう兵器っていうと、「指輪物語」の一つの指輪もそういう表現がされていたのを見たことがありますね。


今回、呼び出されたらしい地球産の新米魔王・渋谷有利に課せられた使命ってのは、パワーバランスが狂ってどっかが攻め込んでくるかもしんないから、強い力を持って心理的抑止力といたしましょう、つー話なんだそうです。
「核の平和」ってのは別にそう信じてるわけじゃないけど。
個人的には正直、二つの対立する国があるとして、片方だけが強力な武器を持っているのと両方が持っているのとどっちがマシかというと。。。という程度には信じてます。


平和をもたらす、という触れ込みに。
つまり取りに行かなきゃなんないのは、聖剣だな?! と返すわけなのですが、ユーリは魔王なんだから魔剣ですな、お疲れさま。w
牛を吹っ飛ばす剣なのだそうです、やっぱり斬るんじゃないんだな。


前王で、三人の子持ちにして(二人がどう見ても成人済み、年齢の計算はかなり違うっぽいけどさ。;)驚異的に若い美女の、その三人の父親の違う子どもらのうち。
真ん中で一番好意的な、その世界の人間とのハーフである次男・コンラッドが魔王さまの魔剣探しにお付きあい。
人間の支配する土地なので危ないわけです、それなりに。


それにプラス、なんでついてくるのだ絶対役に立たないだろう、三男の金髪天使系の見た目に中身わがままプー。可愛い。可愛いが役に立たないだろうっていうか、立たなくていいと私ですら思うヴォルフラム。
もう一人、コンラッド経由の諜報系兵士さんがご同行。


さて、魔王なユーリは、異邦の人間です。


出来ることなんて限られてくる、と誰もが思ってる。
つーか、先代の女王様も(語弊可、むしろ推奨。)亡命者として、そりゃ認められてはいるわけだけれども、敵である人間とほいほい子どもを成すようなフランクな愛を追い求める狩人だと自分で言っちゃうようなお嬢さま育ち。
まあ、憎めはしないし、政治に口出しをしないのはむしろいい、ただ託す相手が間違っていたのだとそういう評価。
彼女の任せた兄は単なる俗物だった。
悪というほどではないけれど、トップに立つべきではない。
そして彼のせいで、すでに徹底的な悲劇も起こってしまっている。
そのせいで離反した魔族、そのせいで大事なヒトを失ったコンラッドなんてのも側にいて、まだ傷は癒えてもいないのに、それすら異世界から来たユーリは知りもしない。


もちろん善意だけれど、味方でがっちり固めて、悪意に触れさせないようにしたい教育係さんに反して、その兵士さんはそれとは異なる意見を持っている。
悪意ではないのでしょうね。
魔王ってのは、ちょっと彼らの意識の中で、不可侵な域を持っているし。
そもそも先代からのつながりで、魔王当人に悪意があるとは考えにくいでしょうしさ。


んで、その三角筋も発達した女装もこなす諜報系兵士は、まめまめしく協力する裏っかわで、ユーリに厳しい「現実」を突きつけ少しは自覚を持ってもらおうと、こそこそ画策なんかをするわけです。
信じてもらってないなー、とユーリも気付きます。
そーいうのは日本人のほうが得意だよね。
真意まではわかんないけどね、平和に暮らしてきたからね。しゃあないね。


妙な仕掛けがしてある、魔王以外の一切を拒絶する、ちゅーか取ろうとすると噛み付いてくる魔剣を頑張ってげっと。。。
いやいいんだけれど、少し剣らしい反撃にしようよ。
魔剣に命を吸わせなきゃ使えないっていうから、さっくりどっかで人間調達しましょうかー、と言ってくる同行者たち。;


頼みの常識人・コンラッドまで陛下は、慈悲の厚い方だからそんなことはしない! けど、試し切りくらいは確か日本の文化としてありますよねー? なんていう体たらくorz
仕方がないのーで臨終の病人を探したり。
内容がよくわからんが、命に関る? などと書いてある人間の土地の祭の競技会に出場してみたり。
じたばたじたばたばた。


今回の魔王サマ人格のお怒りは、実は生け贄を捧げるよーなその祭に注がれましたとさ。
そこで魔族を、力を怖れる女のヒトの言葉に会って。
魔剣、置いていこっかな、多分無意味かなー、とユーリさんは呟きます。


その意味は、読者のほーがわかるんではないですかね。
このユーリさんが、ごく平均的な日本の家庭で生まれて育てられたってのは、もとからの希望だったんだって、ずっとあとの巻で知らされるのですが。
(後付け設定だろうけど、それも構わんでしょう。w)


その世界で「甘ちゃんのボーヤ」やってくのは、並大抵の根性じゃあやってけないでしょうね。超常の力までも借りて。
でも頑張れ。w