「マルタ・サギーは探偵ですか?」

≪密林.com≫
なんですかそのタイトルは、と言ったところで誰も怒らない。
多分作者さんも怒らないし、重度のファンも怒らないし、私も怒らない。いや、私はもともと怒らないか。
なんつーかもともと、ネーミングセンスが。。。
と言われてしまうようなヒトだ。
この話はかなりいいほうだと思う、ちゃんと人名してる人が大多数だし!


マルタ・サギーは鷺井丸太という日本人だ、高校生。
スタート地点はおそらく現代日本。だって変わった常識とかないし。
丸太が極端に変なくらいで、名前も変だし。
(この名のせいで、思い出してしまった戦争犯罪のことは胸にしまっておこう。;)


ある日マルタは、教科書を焼き払って学校を止めた。
なんかあったんだろうと思わせつつ、先生はわりと好き、クラスメートは普通に今日サボったんかー? と話し掛けてくる。
ちょいと華のあるクラスメートとも、別段なんてこともない。
むしろ、その凹凸のない(無気力なんだが無軌道ではない)性格は、周囲に一目置かせていたかもしれない。まあ勘違いも含めて。
でもマルタは登下校が面倒なので学校を止めてしまう。
確かに、今日明日に全てと別れることになっても、本気で彼は嘆かないだろう。
執着はなさそうだ。


親は逆に、彼のことを愛さないが。
辛いものなのかどうかは知らない。


腹が減ったので外にふらふらと出て。
≪アーバーズ≫というコンビニもどきに入る。
手足が多くて鉤爪のある肉入りのカップラーメンと本を数冊買ったらば、なんだかカードが景品として当たってしまう。


そこで、それを見ていた妙なコスプレ男に浚われる。
適当に悶着があって、要するにマルタはその男に騙される。
そのカードが、なんでもものすごく珍しいのだそうな。
現実の世界と平行して、そのカードにまつわるゲームが進行している、中には我々のいうところのファンタジー世界も存在する。
カード遣いたちはそこを行き来している。カードを使って。


マルタは、そのカード世界に紛れ込んで、そのあと男に騙されたことで、なんの知識もないというのに≪カード戦争≫に巻き込まれることとなってしまう。
そこまでの筋と「名探偵」はなんの関係もない。


手に入れたカードの名前が「名探偵」。
ちなみに推理は一切しない。
カードを発動させると事件が勝手に解決する、犯人が因果律すら無視して飛び込んできてべらべら真相を喋り、盗まれた物は戻ってくる。
簡単に言えばシンプルな意味の、子どもが夢想するところの万能な魔法。
私たちに染みのある概念だと「ズル」だ、ルール破り。


少なくとも探偵じゃあないよな、とマルタも考えている。


マルタは、このカードを使い、≪カード戦争≫の執行者を聞こうとしたら圧力を受け、別の世界に飛ばされてしまう。
自分を騙した、けれど事情は知っているはずの男もいない。
あるのは身一つと、景品で当たったカード一箱だけ。


そこはトカゲが洋服を作る、女王も異なる種族。ドラゴンは片眼鏡を掛けていて、酢漬けのニシン弁当を食べる。
街中では解体殺人が起こっている。
マルタをたまたま拾ってくれた医学生は、その警戒の見回りに参加していて。
その友人の警官は憤っている。


その警官が≪カード戦争≫のことを知っていて、マルタをカード遣いとして扱ってくれた、なんらかの規定があるらしい。
少しの金と、生活の面倒もある程度は見てくれる。
女王にも会った、慈悲と聡明と、お茶目さを併せ持っている魅力的な異種族さんだ。w




連続殺人事件と、それに付随して起こった(事情としては逆かな。)予言を行うドラゴンの誘拐事件はマルタのカードが解決した。
で、まあ。
身近なヒトの裏切りなんてことも知ってしまう。


そうそう、“快盗”なんてのも湧いて出てくるね。
今のところ、名探偵たるマルタにめろめろだ。。。
いや、女性の範疇には引っ掛かっているのだろうが、ふ、普通の恋愛されても困るよ?!
(この巻ではありませんがー。)


どんな話なのか、聞いたからこそ全くわからないという感想が妥当ですな。多分。
面白いんですよ。