「PLUTO」1巻

PLUTO (1) (ビッグコミックス)

PLUTO (1) (ビッグコミックス)

≪密林.com≫
日付けの意味はあんまりない。
私がなんかを購入するのが発売直後ということは、たまにしかない。w
(ところにより、一大イベントだったりするのさ。)


鉄腕アトムと浦沢さんのコラボレート、オマージュやらパスティーシュと呼ばないのは趣味。というか、2巻解説に対しての敬意。


あんまり物に動じない人間にとってもそこはかとなく豪華っぽい気がするこの企画、緻密であるから面白い人と、なーんかミーハーで荒削りな面白い人と。
古いもんと新しいもん。
なんかそういうのは面白いような気がする。
私は、実は浦沢さんの漫画をかなり冷静に眺める。
だって破綻がないから安心して読めることない? 今更、打ち切りなんぞ喰らうこともなかろうし、己が意図を大きく削る必要もなかろうし。。。
今までどんな物を読んでいるんだという突っ込みは不可。
半端でマイナーで、緻密で狂ってて、人に訴えかけるよりも自分が大事だという人のほうが好きだからしょうがない。


まあそんなことはよいとして。


普通に読み始めていれば、ゲジヒト氏を人間だと誤認するのだという楽しみがあったのだろうが、私はあいにくロボットが目当てで読み始めたのでそのチャンスがなかった。ちょっぴり切ないorz
非常に、なんていうか、、、無駄なほどに人間臭い外見だね。
(あの顎の下のぽちゃ肉はなんだーっ、と取り乱している方がいたのがよろしい。)


山岳ロボット、モンブランの顔が可愛い。
周囲の愛情が良い。博士の態度がまたとても良い。
いや、死んぢゃったけどね。。。


同じく1巻で死亡した、ノース2号のこれでもか、これでもかっていう押し付けがましいんではないかという癇癪持ちの主人への情愛も、まめまめしさも、なんか良かった。
臭い話なのだから、クドいのだ、それはやっぱり。
それでも描き切れるというのはすごい能力だと思うのだ。しかも脇で流れる、ほんのわずかなエピソード、それほど多くない枚数の中で。
しかしそれ自体は美しいとは思うが、本筋だけを貫く手塚氏とは手法が違うというか、細かいところで点数稼いでいるなー。と全く思わないわけではない。
まあ私は、雑音が好きなので全っく構わないのだが(なら言うな;)。


アトム本篇では、これらは最強のロボットらそのものを狙った襲撃だったようだ。
ところが、「PLUTO」の中では平行して人間の殺害が起こる。
ロボットを人間が壊すことは、能力からしてよほどのことがない限り不可能。全く逆に、ロボットには人間を傷つけることが出来ない仕組みになっている。
なのに、その二つの犯罪は同じ犯人ではないかという。


不可能を説明し、その隙間の中に謎が現れていく過程がよいね。
これだけの情報量が自然に入ってくる、という表現をしたら些かどころか無粋だが。w


かなりあとになるのだけれど、エプシロンというやはり狙われる側のロボットは、戦争協力をしなかったからと罰を受けたと語っている。
戦争とロボットの関りが描かれる。
アトム本篇には戦争はなかったようだ(ネットであらすじを覗いただけ)。


ロボットたちは残らず皆、作中から4年前にとある戦争に関ったらしい。
まあ、タブーっちゅうか言っちゃいけないんだろうが、現在"05のちょっと前に起こった戦争の主要人物らに似てるなぁと。
見りゃわかるからこれも無粋なんだけどさ。。。


7人の高性能ロボットたちは、戦闘を拒絶したエプシロンと、シンボルとして扱われたらしいアトムを除き、皆なんらかの良心の呵責を感じている。
人は殺さなかったが、ロボットを壊した。
世界で7人しかいないほどの能力だから、何百体と壊した。


彼ら高性能ロボット自体はとても貴重な存在だから、人間と変わらないくらい大切にしてもらえる、もっと特別に愛してくれる人も、大事な相手もそれぞれにいたりする。
でも、他のロボットはそうもいかないこともあるようだ。
その狭間の中で、彼らはぎしぎし言っている。


それなのに、どうもその戦争のせいで彼らは狙われているらしい。
(平行して殺されている人間らもまた、その戦争の重要関係者だったりするのでね。)


私の感覚っていっつも少しどころでなくズレているかなぁ?
なんだかそこが一番痛ましかった。


実は私は、手塚アトムの対極にあるだろう、アシモフのロボットが好きなんだけれどね、浦沢さんのロボットはどこかそれを思い起こさせる。
人間臭さを「演じる」ってのはなんか悲しいなぁ。。。


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